そのための資金としてナナメウエでは以下の投資家および金融機関からの融資により約16億円を調達した。

  • SBIインベストメント
  • FFGベンチャービジネスパートナーズ
  • アカツキ
  • Headline Asia
  • Infinity Ventures Crypto
  • DG Daiwa Ventures
  • 90s Management
  • スカイランドベンチャーズ
  • 複数名の個人投資家

ユーザー増の背景に「既存SNSのメディア化」

あらためてYay!とはどのようなサービスか。石濵氏は「(さまざまなSNSに親しんできた人であれば)TwitterとDiscord、それからmixiコミュニティの良い部分を集めたようなサービスだと言えばわかりやすいかもしれないです」という。

ナナメウエが展開する通話コミュニティ「Yay!」
ナナメウエが展開する通話コミュニティ「Yay!」

冒頭でも触れた通りYay!は匿名性のコミュニティで、同世代の人や同じ趣味・趣向を持つ人と交流しやすいのが特徴だ。掲示板のようなオープンなタイムラインに加えて、「荒野行動(オンラインバトルロワイヤルゲーム)」や「勉強サークル」といったように共通点のあるユーザーが集まって“サークル”を作り、交流できる。

また1つのウリとなっているのが最大18人で使えるグループ通話機能。メンバーと音声でつながりながらゲームやYouTube、雑談を一緒に楽しむ場所として使われており、中には6〜7時間に渡って通話をつなぎっぱなしのユーザーも存在するそうだ。

1年前と比べてもDAU(デイリーアクティブユーザー)が約2倍に成長しているYay!だが、その背景には「各種SNSがメディア化することにより、ユーザーの息苦しさがピークを迎えていることが関係している」と石濵氏は話す。

「既存のSNSの投稿ハードルが上がった結果、インフルエンサー以外のユーザーは投稿せず見るだけになってきていると思うんです。たとえば以前は『起きたなう』とか『牛丼なう』とかちょっとした投稿をするユーザーも珍しくなかったですが、今はそんな投稿をするユーザーはほとんどいない。自分も週末に旅行に行って写真を撮ったとしても、投資家や起業家の友人から遊んでいると思われたくないので、FacebookやTwitterには投稿しなくなりました。昔は自撮りをどんどんアップしていたけど、今はすぐに他の人と比べられてしまうから投稿しなくなったという声も聞きます」(石濵氏)

石濵氏はSNSの本質は「承認」であり、何気ない投稿に対しても周囲からリアクションをもらえることが重要だという。一方でSNSが見るだけのメディアになってしまうと、その楽しさも減ってしまう。石濵氏の言葉を借りれば“既存SNSに対するアンチテーゼとして”、Yay!を利用するユーザーが増えている側面もありそうだ。

「自分たちのコンセプトは絶対にメディア化しないこと。自分の素が出せるコミュニティとして、アンチインフルエンサープラットフォームであることを掲げてきました」(石濵氏)