「100年続く老舗和菓子屋」の価値を活かし、ネットで販路を広げる

大槻:オリジナルブランド「萌え木」もスタートさせていますが、今後はどのように事業を拡大させていく予定ですか。

:「今日のご褒美」として選ぶスイーツのなかに和菓子を加えたくて、誕生させたのが「YOKAN −予感−」でした。最初は練りきりにしようと考えていましたが、冷凍での配送になると送料がかかってしまう。常温でかつ日持ちするもので考えたとき、羊羹が最適だったんです。

事業の拡大は、正直に言うと迷っています。利益を出すには規模はもう少し大きくしたほうがいいけれど、工場で作るお菓子となると大手には敵いません。なので、引き続き地元密着型の老舗和菓子屋として営業しながら、和菓子に馴染みのない人を呼び込む入り口としてネット販売やポップアップストアを実践していこうと考えているところです。それもあり、現在は埼玉県内にある3店舗のうち、1店舗を閉めました。その分、ネット販売で売上を立てようとしています。

 

大槻:実店舗を基盤に、ネット販売など新たな販路に挑戦できるのはおもしろそうです。

:コンビニで手軽に大福を買えるのに、なぜわざわざ和菓子屋で大福を買うのか。答えは「和菓子屋で買う=特別感がある」からです。節句やお祝い事などでの「せっかくだから」のニーズに、和菓子屋は応えることができます。創業以来続けてきたことですが、これからもお客さまが何を求めているのかを考えながら商品を作っていきたいです。

大槻:100年以上続く老舗和菓子屋としての目線があることは強みですね。

:その点、私は6代目になれてラッキーでした。歴史ある実店舗でお客さまのニーズに応えれば、商品は必ず売れます。私が家業を継いで1年目に年間9万円、2年目には100万円の黒字でした。3年目となる今年は、もう少し良くなるはず(笑)。着実に積み上げていきたいですね。