テレビ効果をうまく持続できたのは、メルマガのおかげです。1回目に取り上げられたとき、せっかくの注文やお問い合わせをうまく受けきれなかった反省があります。そこで、一次対応をすべてメルマガへ移行。毎週月曜日17時に「販売開始のお知らせ」をメルマガで配信し、そこから注文してもらう流れにしました(販売開始は18時)。メルマガには、テレビを見て検索し、たどり着いたお客さまも多くいらっしゃいますね。

大槻:葛きゃんでぃだけでなく、先ほど話していたフルーツ大福も人気です。

:最初の黒字は葛きゃんでぃがテレビで取り上げられた影響によるものです。黒字化を継続させるには、それ以外でも手を打つ必要がありました。

フルーツ大福の販売を始めたころ、ちょうど音声SNSアプリ「Clubhouse」が日本で話題(2021年1月ごろ)になっていました。Instagramでは個人寄りの発信をしていたので、Clubhouseでは「和菓子屋の6代目」のアカウントを開設。ほかのClubhouseユーザーと交流しながら、フルーツ大福の宣伝をしていました。

一方で、赤字脱却のために不採算商品を削ったり、ほかの商品の値上げをしたりもしました。利益率は正常になりつつありましたが、(これまでの自分たちのやり方を否定されたような感じで)現在の代表である両親や従業員の納得感を得るのは難しかった。

 

「であれば、自分だけで何か始めてみよう」と思い、オリジナルのかき氷を店頭で販売するようになりました。このときはすでにコロナ禍で夏祭りなどが中止になっていたので、子どもたちの思い出にもなればとも考えていました。

ただ、かき氷は最初から売れたわけではありません。手書きのチラシを近所へポスティングしたり、食べたお客さまにヒアリングしたり。そんなことを積み重ねながら、ヒット商品へ成長させていきました。その様子を見ていた父は理解してくれたようで、わだかまりは薄まっていったように感じます。

大槻:メルマガやポスティング、Clubhouseでの発信。本当に、自分でできることをすべて実践していたんですね。

葛きゃんでぃ大ヒットの裏側で流した、悔しさの涙

大槻:改めてですが、榊さんはなぜ6代目女将になろうと考えたのですか。

:私はもともと「人の役に立てる仕事がしたい」と思っていました。当時は「国語の先生になって、生徒の役に立てるといいかも」と考えて大学へ進学したんです。でも、インターンをしてみて教師に向いていないことがわかりました。