ベータ版公開から1年強で約50社が導入、新卒・中途両方で活用

ハイヤールーは葛岡氏を含む3人のエンジニアが立ち上げたスタートアップだ。葛岡氏はディー・エヌ・エーやメルカリでエンジニアとして働いてきた人物。起業当初は消費者向けのアプリを開発していたが、後に方向性を転換しHireRooのアイデアに行き着いた。

コーディング試験に着目をしたのは、葛岡氏自身が過去にGoogleやFacebookの選考を受ける過程で各社のコーディング試験を体験したことが大きい。

会社の技術力が自社の競争力にもつながるため、GAFAのような企業は優秀なエンジニアを採用するために多大な時間と資金を投じている。コーディング試験もその一環であり、こうした仕組みの存在によって「単に面接が上手いだけの人では入社できない」と感じたという。

米国の著名なIT企業の多くは採用プロセスの中にコーディング試験を組み込んでいるが、日本ではまだまだ浸透しているとは言えない。コーディング試験に関心を示す企業は増えていても、問題の準備や採点における技術力や工数が障壁となり、実現には至らないこともある。

こうした課題の解決策として、GAFAと同等とは言えないまでも、さまざまな企業がコーディング試験を活用できるサービスがあればニーズがあるのではないか。そのような考えからサービスの開発を進め、2021年3月末にベータ版の提供を始めた。

2022年1月には機能面を強化するかたちで正式版の運用を開始。現在はIT企業を中心に上場企業から急成長中のスタートアップまで約50社が活用しており、累計の選考数は3000件を超えた。利用料金は月額数万円(スタンダードプランは税込3万9600円)からの基本料に、選考回数に応じた料金が追加される。

「特に価値を感じてもらいやすいのが新卒採用やインターン生の採用です。中途採用に比べて判断材料が少なく、採用に積極的な会社では候補者の数も多い。これまでコーディング試験を取り入れていなかった企業だけでなく、自力で実施していた企業であっても、定量化されたフェアな判断指標が欲しいということで新たにHireRooを活用いただくケースもあります」(葛岡氏)

レポートの詳細画面。他の候補者の結果と照らし合わせて確認することも可能だ
レポートの詳細画面。他の候補者の結果と照らし合わせて確認することも可能だ

直近ではスタートアップなどの中途採用のシーンでも使われる例が増えてきているという。たとえばある企業では海外のエンジニアを採用する際にHireRooを用いてコーディング試験を実施している。海外企業の場合は職務経歴書などだけでは判断が難しいからだ。