YouTubeで「既存ファンの愛着を深める」、TikTokで「認知を広げる」

鈴木:藤掛さんとの出会いは、TikTokを運営するバイトダンスの方に紹介されたことがきっかけでした。自分自身、バスケットボールが好きでしたし、なおかつホリプログループも川崎市にエンターテインメントホールを開業する予定があり、川崎ブレイブサンダースとはご縁も感じていました。今回改めて聞きたいのですが、なぜTikTokを活用しようと思ったのですか。

藤掛:川崎ブレイブサンダースのホームアリーナは「川崎市とどろきアリーナ」です。最大の収容人数は5000人。事業を承継してから2年目には認知度も上がり、4750人まで収容できるようになり、翌年には収容人数の上限に達することが見えていました。

そうなると、これ以上の観客を川崎市とどろきアリーナに集められません。結果的にファンの裾野を広げることが難しくなってしまいます。もちろん、何も手を打っていないわけではありません。数年後には8000〜1万人を収容できる新アリーナを川崎市に建設する予定ですが、新アリーナが出来たからといって、いきなり観客数を倍にするのは至難の業です。試合会場に人を集める以外でも、川崎ブレイブサンダースのファンを作る仕組みが必要となったため、デジタルマーケティングに注力し始めました。

鈴木:デジタルマーケティングの手法には、TikTok以外にもいろんな選択肢があります。ほかのプラットフォームも試していたんですか。

藤掛:YouTubeとTwitter、Instagramを活用していました。ただし、最初の頃はそれほどコンテンツも充実していなかったんです。そこで、それぞれの役割整理から着手しました。

嬉しいことに、アリーナへ来場した方々にアンケートを通じて、川崎ブレイブサンダースを知ったきっかけを聞くと、半数以上がYouTubeと回答するほど効果は絶大だったんです。YouTubeと並行してより広く認知をとれるものを探し、TikTokにたどり着きました。

TikTokは、動画に最適化されたプラットフォーム。おすすめ動画としてサジェストされる機能にも優れています。そのため、YouTubeとTwitterは「既存ファンの愛着を深めること」、TikTokは「潜在ファンをターゲットに認知を広げること」を目的に運用し始めました。

そもそも、バスケットボールは野球やサッカーに比べてコートからの距離が近い分、ゴールを決めた瞬間の迫力があるうえに、「なぜ得点につながったのか」もわかりやすい。初めて観戦する人たちのハードルが低いスポーツでもあるんです。そういったわかりやすさはTikTokなどの動画コンテンツに切り出しやすいので、相性がいいんです。