購入直後とリビール後のメンバーシップカードのイメージ
左が購入直後、右がリビール後のメンバーシップカードのイメージ

このメンバーシップを持つ人には毎年、カードに刻印された日の3カ月前、その年に使える部屋の鍵がカードとは別のNFTで届けられる。使える部屋は固定ではなく、毎年NOT A HOTELのいずれかの部屋が割り当てられる。

「僕らは拠点を今増やしているところで、来月再来月にも拠点が完成していきますが、その後もいろいろと計画が進んでいます。NOT A HOTELの拠点数が増えれば、NFTを持っている人たちの旅先も増えていく。旅先が毎年変わる楽しみがあるというのが、このメンバーシップの面白いポイントです」(濱渦氏)

このメンバーシップカード、あるいは毎年届くNFTの鍵は、それぞれOpenSeaなどのセカンダリーマーケットで販売したり、プレゼントしたりすることが可能だ。

「1泊の宿泊権であれば、クラウドファンディングで販売すればいい、といった考えにもなるんですが、『その日泊まれる権利が47年続く』ということは、365日分のNFTを買えば47年の不動産の権利を持っているのに等しくなります。架空の土地やキャラクターのイラストなどをNFTで買うのではなく、限りなくリアルな土地や建物に近い権利を買うというコンセプトが新しいと考えています」(濱渦氏)

メンバーシップには730日分、すなわち365日×2部屋分の権利が割り当てられる。そのうち670日分を年1泊の権利としてNFTで販売する。拠点が増えるまでは、彼らがメンバーシップ制度用に自社所有して確保する青島の「SURF」と「GARDEN」の2部屋を利用できるようにし、拠点が増えるにしたがって泊まれる場所を増やしていく。

また3連泊が可能な「NOT A HOTEL EXCLUSIVE」も20点(60日分)発行。こちらのメンバーシップでは年3泊の権利に加え、NOT A HOTELオーナーだけが限定利用できる施設(EXCLUSIVE HOUSE)を有償で利用することができる。

3連泊が可能な「NOT A HOTEL EXCLUSIVE」のカードイメージ
3連泊が可能な「NOT A HOTEL EXCLUSIVE」のカードイメージ

分割・NFT化によって資産性と流動性を持たせる

日本の法律では、土地建物の所有には登記が必要であるため、今回のメンバーシップは不動産の法的な所有にはあたらない。そこで利用権の長期間保有をブロックチェーン上で保証することによって、擬似的に「毎年1泊する権利」を保証しようというのが、今回の取り組みだと濱渦氏は説明する。

「実は去年は6人ぐらいだった社員がもう50人近くにまでなってきて、社内のメンバーからも『NOT A HOTELのことはすごく好きだけれども(高くて)買えない』という声が上がるようになりました。ローンを組むというのも重いですし、何とか年に1回使える権利を分割して売る方法を探していたんですが、なかなかその方法が見つからない。そうしているうちに、去年の末ぐらいからNFTの盛り上がりがあって、これを使えば行けるかもしれないとプランを作り始めました」(濱渦氏)