Unlaceのイメージ
 

特徴はビデオ通話だけでなく、テキストチャットベースでカウンセラーに相談できること。顔を出さなくてもカウンセラーとやり取りできるため、ユーザーにはテキストチャットが好評で、基本的にはテキストベースでのコミュニケーションが用いられているという。

カウンセラーは運営が紹介する形式ではなく、不安や悩みなどの相談内容を基に最適なカウンセラーがマッチングされる。

Unlaceがこの領域で事業を立ち上げるきっかけとなったのが、代表取締役の前田康太氏自身が起業後に鬱に悩まされたことだ。前田氏は「Pairs」を運営するエウレカでサービスの事業開発の責任者や、新規事業の事業責任者を経験。2020年1月に起業の道を選択した。

Unlace代表取締役の前田康太氏
Unlace代表取締役の前田康太氏

不調の原因となったのは、起業後に挑戦した新規事業がうまくいかなかったことが大きい。開発費用を賄うための仕事に多くの時間を費やす中で、前職時代とは異なり身近に相談できる人もおらず、次第に体調を崩していった。

最終的には精神科を受診し、抑うつ型の自律神経失調症と診断されたが、実は病院に行くことを検討し始めてから、実際に行動するまでには1カ月ほどの期間を要した。

背景にあったのが「心の病気は弱い人がなるもの」という考えだ。その考えから病気であることを誰かに相談することもなく、病院に行くことにも抵抗を感じていたと前田氏は当時を振り返る。

前田氏が自らの原体験も踏まえて行き着いたのが、日本ではメンタルヘルスケアの敷居が高く、「心の病気というものにスティグマ(負のイメージ)」があるということ。心の病気を抱えていることが会社や周囲の人に知られると不利益を被るかもしれない──。そういった社会的なスティグマをなくしたいと考えるようになった。

ユーザーは20〜30代が中心、約半数は通院経験なし

「スティグマをなくす」挑戦は、前職でPairsに携わっていた際にも経験したものだ。今でこそ社会的な認知度が高まってきたマッチングサービスも、数年前までは“出会い系の危ないサービス”ととらえられることの方が多かった。

Pairsが少しずつマッチングサービスのイメージを変えたように、Unlaceでもメンタルヘルスに対するイメージを変えていきたい。その思いから、“気軽に相談ができる社会”を目指してオンラインカウンセリングサービスを立ち上げた。

匿名で顔を出す必要もなく、チャットを通じて好きなタイミングで連絡ができる。その特性もあって、Unlaceのユーザーはチャットでのコミュニケーションに慣れている20〜30代が中心だ。