マッチングプラットフォームでは取引をデジタル化し、荷主と運送会社を直接つなぐ。自分たちが運送会社やドライバーを束ね、非稼動時間などを活用しながら最適にマッチングをしていくことで、荷主の物流コストの削減と運送会社の稼動の最適化や収益の拡大を後押しする。

当初は軽貨物領域からスタートしたが、現在は一般貨物にも扱う幅を広げている。たとえば食品や飲料など“需要の変動性があるBtoBの物流領域”は得意領域の1つだ。

こうした領域では「気候の関係で急激にアイスが売れるようになった」「キャンペーンが反響を呼んで一気にニーズが拡大した」といったように急な需要が発生することも珍しくない。そんなシーンでハコベルが重宝されているという。

約60%の業務効率化を実現した社内システムをSaaS化

ハコベルコネクトのイメージ
ハコベルコネクトのイメージ

一般貨物も対象にしたことで、複数の運送会社と連携している大手の荷主企業と深く関わることも増えた。ハコベルコネクトはそのような流れの中で生まれたサービスだ。

狭間氏によると、実は最初からサービス化を意識していたわけではなく、もともとはハコベルの事業部内で“自社ツール”的に使っていたシステムが原型になっている。

一般貨物の事業を立ち上げた当初は、自分たち自身も電話やFAX、エクセルを使って発注業務や管理業務をこなしていた。その工程を1つずつシステムで自動化したところ、1件の受発注にかかる時間を約60%削減できたという。

「このシステムを(サービスとして)切り分けて提供してもらえないか」

当時取引のあった大手企業にこのシステムの話をしたところ、そのような反応が返ってきたことが1つの転換点になった。

「そこでこのシステム自体にニーズがあるのだと気付きました。そのような背景もあったので、『弊社のハコベル配車センターでは運送会社への発注をシステム化したことで、約60%の業務削減につながり、品質管理の改善にもつながりました。このシステムを活用してみませんか?』というかたちで営業を始めたんです」(狭間氏)

現在20社以上にハコベルコネクトを展開しているが、顧客においても「配車業務にかかっていた時間が6割減った」「クラウド環境へ業務を移行できたことで、リモート勤務ができるようになった」という事例が生まれているという。

セイノーHDとタッグで「オープンプラットフォーム」実現目指す

今回セイノーHDとタッグを組んでジョイントベンチャーとすることで、まずは既存事業のさらなる拡大を見込む。「カンガルー便」などを提供するセイノーHDは、顧客荷主数が12万件、発着を合わせた取引先数が80万件を超える商業物流領域の大手。同社の顧客基盤やネットワークなどを用いた送客支援によって、事業を成長させていく狙いだ。