米国のZ世代(一般的には1990年代半ばから2010年代生まれの世代)は、こうした環境配慮を“クール”な取り組みだと捉えている。米調査会社・First Insightが2019年に実査した調査では、Z世代の62%が「サステナブルなブランドから商品を購入したい」と回答。X世代(1960年代中盤から1970年代終盤生まれの世代)の54%、沈黙の世代(1925~1942年生まれの世代)の44%よりも多かった。

サミュエル氏はこれからの時代、「(アパレル企業は)サステナブルでなければ生き延びられない」と断言。その根拠として、Z世代の特徴を以下のように分析した。

「20年前のニューヨークは、(カジュアルファッションブランドの)『Abercrombie & Fitch』を着ていなければ『場違いだ』と鼻で笑われるような街でした。当時は誰もが同じ服装でした。でも、今の若者は違うのです」

「Z世代にとっては、自分が着ている服が個性的であること、そして環境に優しいことが重要です。そのため、リセールやリペアに取り組むブランドも増えてきました。その中で我々は、オンデマンドで個性的な服を注文できること。そして独自のプリント技術により、アパレル業界をサステナブルにしていくことを目指しています」(サミュエル氏)

“水を使わなない”プリント技術でアパレル業界をサステナブルに

Kornit Digitalは2003年にイスラエルで創業。2015年にナスダックに上場した。イスラエルに本社を置き、米国やヨーロッパに加え、日本を含むアジアの地域にも拠点を構える。同社のビジネスモデルは、企業向けにプリンターやインクなどの消耗品、ソフトウェアなどを提供するというものだ。

大小さまざまなサイズのプリンターを展開するKornit Digitalだが、ここではプラザクリエイトも導入した最新鋭プリンター「Atlas MAX」をもとに、同社の技術について解説する。プラザクリエイトは来月、東京・原宿に商業施設「CREATIVE PLAZA HATTO」をオープンする予定だ。そこにAtlas MAXも展示される。なお、プラザクリエイトはKornit Digitalとの提携のもとアパレル事業の展開を目指しているが、その詳細についてはまだ明確にしていない。

Kornit Digitalが提供するインクジェットプリンター「Atlas MAX」
Kornit Digitalが提供するインクジェットプリンター「Atlas MAX」

Atlas MAXの最大の特徴は水を使わずロゴやデザインを衣類にプリントできるところにある。通常、衣類を染色するには大量の排水が発生してしまうが、Kornit Digitalは独自のプリント技術とインクを開発することで、染色や洗浄といった行為などによる水を使うプロセスを省いた。