無人コンビニのMOPUの場合は30㎡ほどのサイズで展開していた。ネットスーパー向けのNFCはそれよりも3〜4倍大きい100㎡ほどを想定しており、既存のMFCに比べて小型で日本のスーパーのニーズにあったものを提供していく計画だ。

NFCのイメージ
 

夜間でもピッキング可能、店舗併設型の自動倉庫が支える次世代ネットスーパー

今後は小売業界でも労働人口の減少により人員の確保が難しくなるとともに、人件費の高騰も予想される。このような状況下において「自動化は避けて通れないというのが小売事業者に共通する見解」(前野氏)だ。

また内部要因だけでなく、商圏を侵食してくるネットスーパーへの対応にも迫られている。

「大型のネットスーパーが自分たちの商圏にも進出してきているという外部要因も大きいです。従来はその地域の中で優位性や信頼があれば来てくれていたはずのお客さんが、ネットスーパーに流れてしまっている。自分たちもネットスーパーをやらなければやられてしまう、と危機感を感じている事業者が増えてきている状況です」(前野氏)

実際にROMSのサービスに関心を示す小売企業の中には、“地域の雄”として特定の地域で消費者から支持を集めてきたような事業者も多いという。すでにネットスーパーを手がけているところもあるが、何らかの課題を抱えているそうだ。

たとえば人力でのピッキングによって顧客から受ける注文数の制限が生じ、配送効率も最適化が進まない。かといって自動化や効率化を進めるために大型の倉庫を構えるのは、一部の大規模な事業者以外は難しい。

そもそもネットスーパーの対象エリアは実店舗の周辺が中心になるため、距離や即時性の観点などからも店舗に近い場所に倉庫を構えられる方が望ましい。そういった観点から、既存のネットスーパーを改良する仕組みとして、限られたスペースでも利用できる店舗併設型の自動倉庫のシステムを持つROMSに期待する事業者も出てきている。

クイックコマース向けの無人自動ピッキング店舗を開設、12億円調達で事業拡大へ

直近ではKDDIの直営店・au Style SHIBUYA MODIに併設するかたちで、ROMSのシステムを導入した無人店舗「auミニッツストア 渋谷店」がオープンした。

auミニッツストア 渋谷店のイメージ
 
auミニッツストア 渋谷店の内装のイメージ
 

この店舗はデリバリーとテイクアウトに対応しており、注文の入った商品のピッキングとパッキングをロボットが担い、店頭を訪れたユーザーや配送員に届ける仕組み。クイックコマースの工程の一部を自動化するような取り組みで、注文はデリバリーアプリの「menu」を用いる。

ROMSでは今後スーパーを始めとした複数の小売企業にNFCやRCSを展開していく計画。組織体制を拡充し、既存システムの改良や次世代モデルの開発に向けた投資を加速させるための資金として、既存投資家のDNX Venturesなど複数の投資家から総額12億円を調達した。