ハードだったMBA取得を通じて得たもの

経済ニュースを伝えるために経済の知識をしっかり持ちたい──そんな考えのもと、早稲田大学大学院に通い、MBAの取得を決断したという相内さん。生放送のニュースキャスターという仕事がありながら、どのようにして大学院に通っていたのか。

論文を書くため大学に寝泊まりし、「過酷すぎて、思い出したくない…(笑)」頃の一コマ
論文を書くため大学に寝泊まりし、「過酷すぎて、思い出したくない…(笑)」頃の一コマ

相内さんによれば、生放送と授業の時間、自分では調整する余地のないスケジュールの中、集中する時間を意識し、タイムマネジメントを綿密にやっていたという。「平日は仕事が終わってから1時間仮眠し、そこから課題に取り組んでいました。この課題を何時までに終わらせて、次の課題をこの時間まで。それが終わったら、この文献読んで……と。細かく自分の中でタイムマネジメントして、仕事も課題もこぼさないように必死でした」と語る相内さん。その状況を続けられたのは、大学院で出会った仲間の存在があった。

「私より大変な環境でも、変化や成長するために来た人と、たくさん出会いました。さまざまな経歴の人がいて、『育休中に来ました』という人、若くして上場企業の役員を務めながら『どうしても経営の勉強がしたい』とか……。体力的に厳しくても、“みんなも頑張っているから、私も”と思える仲間がいて、乗り越えられた部分が大きいです」

「さまざまな業界の人と繋がりができ、昨今の景況感について、化粧品メーカーの友だちが『資源高と円安で、原材料費が上がっている』、IT企業の人が『広告費が下がっていて、景気の減速を実感する』などの話になります。仕事上、膨大な情報と接しますが、その業界にいる人の“生の声”が聞けるのは、すごく刺激になりますね」(相内さん)

共に過酷な日々を乗り越えた仲間たちからは、今も刺激をもらっている
共に過酷な日々を乗り越えた仲間たちからは、今も刺激をもらっている

新たな出会いだけでなく、仕事の中にもモチベーションを上げる要素があった。モーサテのメインキャスターとして、「学んだら学んだだけ、専門家の方の話の理解度が上がりますし、質問の仕方や番組の回し方が変わります。仕事に還元できている手応えや成長を感じやすく、アウトプットに直結する場がちゃんとあり、勉強に前向きになれる環境です」と話す。過酷な両立生活を乗り越え、今は燃え尽き症候群のような感覚もあるそうだが、充実感に加え、気づきや自信もできたという。

「自分でも思ってもみなかったのですが、風邪一つひかず、意外と根性があったんだとわかりました(笑)。先行きが不透明な時代と言われますが、やり切った経験ができたから『どうにかなるでしょう』と思えるようになりました」

チャレンジしない選択肢もあった

本来であれば目の前の仕事を懸命にこなし、その中で学んでいくだけでも十分だと感じる面も、相内さんの中にはあった。