アナウンサーをしながら、MBAを取得──テレビ東京『モーサテ』メインキャスター相内優香の考え
 

「あの時、チャレンジしない選択肢も当然ありました。アナウンサーという職業に、なりたくてなって、とても充実しているし、楽しい仕事です。でも、アナウンサーは外資系企業並みに人材の流動性が高く、自局も他局も、そもそも採用数が少ないのに半分以上の同期が会社に残っていません。職業柄、仕事ぶりや実力が誰からも見える、厳しい競争環境の職種で危機感があります」

「好きな仕事を長く続けるためにも、専門性や強みを身につけたい。テレビ東京では、報道の主軸は経済です。やはり自分のベースとして、経済ニュースを伝えるために経済の知識をしっかり持ちたいと考えて、MBAへの挑戦を決断しました」

競争の激しい仕事では、簡単にポジションを奪われることもある。しかし、積み重ねてきた経験や学びによって得た知識が、誰かに奪われることはない。人生を中長期的に考える面でも、「経済を学ぶことで、この先、強くしなやかに生きられる感覚があって、その点でも『やって良かった』と思っています」と話す相内さん。次に学びたいのは、財務だという。

「大学院でも財務諸表を見るなど、簿記2級レベルくらいの知識は勉強してきました。経営の基礎となるのは財務ですし、株価を見て決算分析をする上でも、今度は財務管理を勉強したいと考えています」

MBAを取得し、経営・経済の学びを深めていく。経営の勉強をしたり、さまざまな業界の人たちと触れ合ったりする中で起業に興味を持つことはあるのだろうか。

自身が起業する可能性について聞くと、相内さんは「父が50歳で起業し、70歳を過ぎた今も現役です。私は実家を離れているので、従業員のみなさんに見守られている様子に安心しますし、定年退職でキャリアを終えるのではなく『起業して働き続けるのは、いいな』と感じました。成功するかどうかは別の話ですが、起業は誰でも、いつからでも始めることはできる。とても先のことだと思いますが、いつかは……と、憧れはありますね」と語った。

封印中のバーチャルアナウンサー・相内ユウカ

メインキャスターだけでなく、ナレーションも「好きな仕事の一つ」という相内さん
メインキャスターだけでなく、ナレーションも「好きな仕事の一つ」という相内さん

長年、新聞を毎日5~6のキャラクターでナレーションするなど、アナウンス技術も磨き続けている。「ナレーションが好きなので、もう趣味みたいなものです(笑)」と相内さんは言うが、その鍛錬があったから生まれたのが、バーチャルアナウンサーの相内ユウカだ。

「WBS(ワールドビジネスサテライト)」担当時代のある日、バーチャルYouTuberの技術を紹介する企画があった。「誰かが体験取材する方が、視聴者に伝わりやすい」と、相内さんがモーションキャプチャをつけることになる。指示したスタッフも想定外だったのは相内さんが突如、アバターのビジュアルイメージに合わせて即興で声色を変え、突き抜けたキャラクターを演じたこと。