「論文の検索を迅速かつ高い精度で行うには、あらゆる論文を同じフォーマットで扱えることが重要です。この仕組みを実現できると、今までは人が時間をかけてやっていた作業を機械的に実行できるようになります」(山田氏)
山田氏は子供の頃から動物が好きだったこともあり、大学は獣医学を学ぶために東京大学農学部獣医学専修に進学した。ただ、そこで山田氏自身はサイエンスの現場における実験の非効率性を自ら体感することになる。
“必要のない動物実験”の数を減らしたい──。そのような考えから最初はARを活用した動物実験のプロダクトなどのアイデアを考えていたが、ちょうどその頃出会ったプライマルキャピタルの佐々木浩史氏などとディスカッションをする中で、「予備実験を減らすために、先行研究を調べる際の課題を解決すること」に着目し、Sophiscopeのプロトタイプを開発した。ちなみに山田氏はライフサイエンス業界にテクノロジーを導入する必要性を感じ、工学部へ転学部して自ら自然言語処理の技術などを学んだのだという。
オープンベータ版では対象疾患をがんに絞っているが、今後は糖尿病や認知症、AIDSなどにも拡大する予定。実験条件の抽出を足がかりに、将来的には論文の再現可能性の測定、実験条件の提案、実験結果のシミュレーションといった機能も実装していく計画だ。
それに向けてfukuでは10月14日にプライマルキャピタル、ディープコア、個人投資家の島田達朗氏を引受先とした第三者割当増資により総額4500万円の資金調達も実施した。
この資金を活用して人材採用を強化する方針。まずは製薬企業の研究者が日々の業務で使えるサービスとして展開していくことを目指す。