「新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、個人やスモールチームが大きな打撃を受ける中、鶴岡さんと事業について情報交換をさせてもらったんです。そのときに『このタイミングでマーケットを引っ張っていかないといけない』という思いが強くなりました。それでシリーズAの資金調達に動くことにしたんです」(藪氏)

藪氏によれば、もともとシリーズAの資金調達は今年の年末を目処に動こうとしていたそうだが、コロナ禍による需要拡大に伴って、半年前倒しで動くことに。そのタイミングで「将来的に何か一緒にできたらいいね」と話をしていた鶴岡氏にシリーズAの資金調達に動いていることを話したところ、今回の出資が実現した。

「去年話をもらっていたら、出資できていませんでしたね。BASEにとっても非常に良いタイミングで話をもらえたので、サービスを提供する個人やスモールチームをエンパワーメントしているMOSHへの出資を決めました」(鶴岡氏)

現在、チームコミュニケーションツール「Slack(スラック)」にはBASEとMOSHの共有チャンネルが開設され、両社の社員が活発にコミュニケーションを図っている。

「このマーケットには良き理解者が必要」急成長BASEがサービスECのMOSHに出資する理由
 

「マーケットの先駆者でもあるBASEの組織面や事業戦略面での知見を教えていただけるのは、MOSHにとっては非常に大きいですね」(藪氏)

今のところ、BASEとMOSHのサービス連携は考えておらず、まずはBASEが8年間で培ったノウハウや知見をMOSHに対して惜しみなく注いでいく、という。

「『資本関係があるから』という理由でサービス連携を優先し、そこに社内の開発リソースを割くのは個人的にはあまり良くないと思っています。MOSHはBASEと似たユーザーセグメントに対してサービスを提供しているので、僕たちが8年間積み上げてきた経験を惜しみなく提供する方が成長のためには重要だと思っています」(鶴岡氏)

共有チャンネルにはBASEの社内にしかない情報をすべて提供しているほか、BASEの全マネージャが参加している。

「BASEもサイバーエージェントやメルカリ、丸井など複数の事業会社から出資してもらっています。僕自身、先輩の起業家からこれまでに何回も事業の相談に乗ってもらい、経営や事業のノウハウや知見を教えてもらったので、僕が事業会社から出資してもらったことで享受してきたメリットは後輩の起業家にも提供していければと思っています」(鶴岡氏)