マーケットの成長ポテンシャルはまだまだ大きい

BASEやMOSHがサービスを展開する市場の動きも活発になってきている。例えば、今年の8月には決済・EC事業を展開するヘイが大型の資金調達とオンライン予約システム「Coubic(クービック)」を開発するクービックを買収した。

また、直近ではShopifyが「BASEショップ情報移行アプリ」を提供したり、Squareがネットショップ作成サービス「Square オンラインビジネス」の提供を日本でも開始するなど、競合プレイヤーの動きが激しくなってきている。

これはコロナ禍を契機に、実店舗のオンラインシフトの加速などによって個人やスモールチームをエンパワーメントするマーケットが持つポテンシャルが顕在化したことが要因のひとつだが、鶴岡氏はこうしたマーケットの動きをどう見ているのか。

「10〜20年後は個人やスモールチームがインターネットで自らビジネスをしているのが当たり前になっていると思います。今では想像もできないほど、大きなマーケットになると思っていますし、成長ポテンシャルはまだまだ大きいと思っています」

「ここ数年のマーケットの変化を背景に各社の動きが活発なのは把握しています。最近のShopifyの新機能にはもちろん驚きもありましたが、その一方で少し嬉しい気持ちもあって。Shopifyは僕がBASEを作り始めたときから、すでにすごいプラットフォームで何とか追い越せるように今まで頑張ってきたので、そこから一目置かれる存在になったんだな、と。何だか感慨深い気持ちです。ただ、BASEはShopifyとはユーザーセグメントが異なります。Shopifyはエンタープライズ系が強いですが、BASEはロングテールで個人やスモールチームの新規利用者を増やしているので、そこは引き続き守っていかなければいけないと思っています」(鶴岡氏)

「このマーケットには良き理解者が必要」急成長BASEがサービスECのMOSHに出資する理由
 

そんな鶴岡氏について、藪氏はこんな言葉を口にする。

「このマーケットに対して、鶴岡さんが最も楽観的だと思います。『個人やスモールチームがインターネットで活躍する未来を信じてやり続ければいいじゃん』と言ってくれるのは個人的にありがたいです。MOSHをリリースしたタイミングでは経営者やVCの人たちから『NPOをやっているの?』『この領域は(競合も多くて)もうお腹いっぱい』と言われることも多く、なかなか自分の信じる未来を信じてもらえなかったので、同じ未来を見据えている鶴岡さんが一緒に併走してもらえるのは心強いです」(藪氏)