一方のBASEも巣篭もり消費や消費者のEC移行、実店舗のオンラインシフトの加速などによって、事業が急拡大。同社の発表によれば、2020年12月期第2四半期(1〜6月)における、注文ベースのBASEの流通総額は前年同期比196.5%増の310億7100万円を記録。さらには、その成長スピードをさらに加速させるべく、9月24日には海外投資家向けの公募増資で約120億円の資金調達も実施している。

BASEはこの資金の主な使途として「M&A及び資本業務提携」を挙げているが、なぜBASEは初の出資先としてMOSHを選んだのか。またMOSHとの提携によって何を目指すのか。鶴岡氏とMOSH代表取締役社長の籔 和弥氏に聞いた。

「このマーケットには良き理解者が必要」急成長BASEがサービスECのMOSHに出資する理由

自社での機能強化から、外部との連携強化へ

MOSHの創業は2017年7月。当初はデザインのカスタマイズ機能や決済機能、月額サブスク機能を取り入れず、個人事業主が予約・レビュー機能を利用できるサイト作成サービスとして2018年2月にスタートを切った。籔氏によれば、その頃から定期的に鶴岡氏に事業の相談をしたり、情報交換をしたりしていたという。

当時は起業家の先輩・後輩という関係性のもと、カジュアルに事業の相談や情報交換をしていた鶴岡氏と藪氏。2年前から交流があり、「将来的に何か一緒にできたらいいね」という話もしていたが、お互い自分の事業に集中しており、出資や連携の話は出てこなかった。

「BASE自体、まだまだ事業のトップラインを成長させていかなければならないフェーズだと思っていますし、他社に出資するリソースや体制も社内になかったんです」(鶴岡氏)

個人やスモールチームをエンパワーメントしたい——そんな思いのもと、BASEは2012年の創業からサービスの拡充や機能開発など、自社の成長に集中し続けてきた。

だが、ここ1年でBASEを取り巻く状況が大きく変化。2019年10月に東証マザーズに上場したほか、直近では海外投資家向けの公募増資で約120億円の資金調達を実施した。

「この1年で会社の経営体力も少しずつ余裕が出てきて、BASEを成長させるための選択肢も広がってきました。ようやく会社として、今までやりたかったけど出来なかったことに挑戦できるフェーズになったので今後は機能強化だけでなく、外部との連携の強化や出資なども活用して成長していけたらと考えていました」(鶴岡氏)

「去年だったら、きっと出資はしていなかった」

そんなタイミングで、ちょうど資金調達に動いていたのがMOSHだった。