2019年9月に正式リリースされたピクポンは、インサイドセールスの通話記録の入力コスト削減に焦点を当て、サービスを提供してきた。電話での会話のテキスト化・サマリー化とCRM・SFAツールやチャットツールへの自動入力・シェアによって、情報の入力漏れの予防、通話内容のブラックボックス化の防止、情報共有の促進を図ることができる。

ピクポン利用時のフロー
ピクポン利用時のフロー

小幡氏は「実はピクポン開発の最初のきっかけはインサイドセールスではなく、フィールドセールス(外勤営業)へのインタビューです」と明かす。

能動的に電話をかけるアウトバウンドか、電話がかかってくることを想定して待機するインバウンドかの差はあれど、インサイドセールスでは電話での通話も、会話の記録も業務の前提となっている。一方、外勤営業では、いつ、どこで顧客から電話がかかってくるかは分からない。商談を含めた発話内容を覚えているうちにスマホなどのモバイル機器で入力することはかなり難しく、漏れなく記録を残そうとすれば、担当者の手間・コストもかかる。

「最初はプロダクトとして実現可能性の高いインサイドセールスの領域から開発を始めましたが、外勤の入力課題はより大きいとずっと感じていました。そこで引き続きインタビューを続けていたのですが、調達資金も得て、ようやく本丸であるフィールドセールスのためのプロダクトを出すことができました」(小幡氏)

今回リリースが発表されたモバイルアプリは、iOSに対応。9月1日からプレリリース版が一部の企業に先行導入されている。モバイルアプリではPCブラウザ用に提供していたピクポンの機能が全て利用可能。具体的には「アプリを使った架電・受電」「通話のサマリー作成と顧客管理ツールなどへの自動入力」「顧客の課題感や怒りを含む重要な発言をSlackの指定チャンネルへ投稿」といったことが、スマホから行える。

モバイルアプリ利用時のフロー
モバイルアプリ利用時のフロー

「外で電話したときのやり取りの記憶はこれまで大変でした。アプリを活用すれば、いつ何時、顧客から電話がかかってきても、位置情報や話した内容をSFAツールなどに記録できる。営業通話のペインについて、ピンポイントではあるが、今までより深いところを解決できたのではないかと思います」(小幡氏)

管理ではなくセールスアプローチ発見のためのツール

通話業務をAIで音声解析して可視化するサービスとしては、今月新たに7億円の資金調達を発表したRevComm(レブコム)が提供する「MiiTel(ミーテル)」なども存在する。