小幡氏は「MiiTelは、ピクポンとプロダクトとしては近い領域にありますが、出発点やコンセプトが異なるため、使用感などはかなり違うと思います」と説明する。MiiTelでは、発話量分析やトークスクリプトに基づいたキーワード分析など、商材や売り方が確立したセールスシーンでの教育や管理に向いた機能が豊富だ。これに対し、ピクポンは顧客が何を発言したかをそのまま収集し、センテンスをピックアップ。顧客の課題の発見や最適なセールスアプローチを見つけるためのツールと位置付ける。

Slack連携
Slack連携では自動で重要な発言部分がピックアップして共有される
ピクポンのダッシュボード画面
ピクポンのダッシュボード画面

ピクポンはリリース当初からクラウド型営業支援ツール「Senses(センシーズ)」と機能連携しているが、開発元・マツリカ執行役員の中谷真史氏は「CTI(Computer Telephony Integration)ツールが必要となったときに、一番Sensesと思想が近かった」とピクポンを選択した理由について述べている。 

「Sensesは営業パーソンに創造性を与えるプロダクトとして開発を進めてきました。セールス現場の負荷をいかに下げ、顧客にいかに向かい合えるかということを日々考える中で、顧客に目を向け、営業パーソンが自分のオリジナリティやクリエイティビティを解放できる仕掛けがあるピクポンは、Sensesの描く世界観と近く、一番共感するCTIツールでした」(中谷氏)

「インサイドセールスは手段に過ぎない。管理をするというよりは、顧客のリアルを知り、かつ営業活動にそれが生かされることで、顧客と齟齬なく情報交換ができ、価値を提供できるかどうかがセールスのあるべき姿」として、中谷氏は「ピクポンではその本質に目が向けられていると開発思想から感じられた」と話している。

小幡氏も「フィールドセールス、ひいては営業の課題は、行動量が多い人ほどその多さ故にデータ化が難しいところにあります。課題を誰が解決しているかを見た時に、我々が最初に見つけたのがSensesというSFAでした」と連携のきっかけについて語る。

両社はモバイルアプリでも引き続き協調し、連携している。三菱地所グループで住宅事業のリテール仲介などを営む三菱地所ハウスネットのDX拠点として9月にオープンした「Cube i(キューブアイ)有楽町」では、ピクポンのモバイルアプリがSensesとともに先行導入された。

三菱地所ハウスネットはこのDX拠点で「不動産仲介におけるデータドリブンな新しい顧客体験」実現のための施策を検証している。専任のデータ分析チームによる営業の行動分析に取り組む中で、ピクポンが営業活動でブラックボックス化しやすい電話対応の可視化ができる点を評価。また、要点のサマライズ機能や各種ツールとの連携にも期待をかける。