その一方で、不特定多数からお金を集める仕組みなので「クラウドファンディングって大丈夫なの?」という声もあるのですが、僕たちはクラウドファンディングの思想から逃げてはいけないですし、ずっと“クラウドファンディング”であるべきなんです。
資金集めを民主化し、世界中の誰しもが声をあげられる世の中をつくる──このコンセプトをぶらさず、クラウドファンディングサービスとして存在し続けた結果、今回のコロナ禍で日本中の飲食店や生産者、ホテルが苦しい状況追い込まれたときに資金調達、販路開拓のためのツールとしてCAMPFIREを使ってもらえました。
それは数字にもあらわれていて、緊急事態宣言中には月間2000件ものプロジェクトが生まれていました。今も月間1500件ほどのプロジェクトが生まれています。
コロナ禍で各社、手数料を下げるなどのキャンペーンを実施していましたが、それでも僕たちが伸びた要因はこの9年、小さなプロジェクトをたくさん扱ってきたから。クラウドファンディングの本質的な価値に向き合い、逃げなかった。それが大きかったと思います。
CAMPFIREは購入型、融資型、株式投資型などさまざまなサービスを展開していますが、根底にある思想はクラウドファンディング──資金調達を民主化して、誰もが声をあげられる世界にすることです。今回のコロナ禍で改めて原点に立ち返れたと思います。
一つひとつのプロジェクトの規模は小さいし、中には達成しないプロジェクトもあります。ただ、そういったプラットフォームがあることで誰もが声をあげられる世界にすることが大事。またプロジェクトが増えれば自然と流通額も増えていくので、いかに声をあげやすいプラットフォームになれるかということはとても重要だと思っています。
コロナ禍で気づいたクラウドファンディングの新たな価値
──2020年の流通額は2019年の70億円から約3倍の200億円になる見込みだと発表しています。BASEの取材でも代表取締役CEOの鶴岡裕太氏が、「目指していた(個人を中心にした経済圏が生まれるという)世界観がコロナ禍で前倒しになった」と言っていました。家入さんは事業の成長についてどう考えていますか?
これは一時的な特需ではなく、“前倒し”という表現が正しいと思っています。僕たちが5年、10年かけて実現した世界の数字が前倒しで今に反映されている。CAMPFIREも2011年に立ち上がり、ずっと個人やスモールチームが活躍する世界の実現を目指してきて、それが前倒しで実現されました。