BASEとは将来的には機能連携も視野に

──今回の資金調達はBASEや丸井グループなど、事業会社から資金調達を実施しているのも特徴的でした。

そうですね。特にBASEは(個人やスモールチームなど)ターゲット層が被っているので、彼らと組めるのは僕たちにとっても大きいことです。BASEの累計ショップ開設数は120万店舗を超えていて、CAMPFIREのプロジェクト掲載数は4万件なので数字だけ見たら30倍ほど差があります。ただ、事業連携することでBASEのショップオーナーが将来的にクラウドファンディングをやる際、CAMPFIREでプロジェクトが実施できるのはBASEにとってもメリットがあると思っています。

連携に関する具体的な話は今後詰めていく予定ですが、まずは相互送客から始めていき、将来的にはID連携などの機能連携も視野に入れていければと思っています。

──家入さんはBASEの社外取締役も務められていますが、なぜ事業連携のタイミングは今だったのでしょうか?

これまでも「事業連携はやれたらいいね」という話は常に出ていました。ただ、お互いに集中すべきことがあったので、なかなか進まなかったんです。そうした中、たまたまCAMPFIREがファイナンスのタイミングに差し掛かり、BASEも海外投資家向けの公募増資で約120億円の資金調達も実施し、積極的に外部への投資を進めていこうとしていたフェーズだったのでお互いに良いタイミングだと思い、事業提携が実現しました。

「クラウドファンディングの思想」から逃げてはいけない

──競合のMakuakeは“アタラシイものや体験の応援購入サービス”にタグラインを刷新し、クラウドファンディングから「応援購入」とうたうなど、メッセージの打ち出し方を変えていますが、CAMPFIREは購入型クラウドファンディングについてどのような考えを持っているのでしょうか?

お互いのサービスの思想がテレビCMに反映されたな、と思いました。彼らは消費者側にフォーカスを当てた内容になっていて“購入側”を見ている。一方で、僕らはクラウドファンディングを通じてチャレンジしようという内容になっていて“プロジェクトオーナー側”を見ている。どちらが良い、悪いという話ではないのですが、彼らはECプラットフォームとして進化を遂げています。一方でCAMPFIREの本質はあくまで“クラウドファンディング”にあると思っているんです。

クラウドファンディングの価値は、一つひとつのプロジェクトの金額が小さいけれども、誰も知らない飲食店が声をあげて、それを身近な人が応援していき、応援の輪が日本全国にまで広がっていくことにあります。