──M&Aの目的は近い思想を持ったメンバーのハイアリングでしょうか?
その意味合いも強いですね。やはり、強い思いを持ってゼロからイチをつくった人たちは貴重な存在。1000人規模の組織のトップと話をしたときも「ゼロイチつくれる人はいない」と言っていました。決して事業が必要ないという話ではないのですが、ゼロイチで何かをつくった人は貴重なので、事業と人材のすべてを引き受けた上で一緒に成長していけたらいいな、と思っています。
またM&Aに力を入れる背景には“プラットフォーム生まれすぎ問題”もあります。例えば、投げ銭系のアプリなどは生まれては消えて、生まれては消えて……を繰り返しているんです。「誰かが誰かを応援する」というのはインターネットの根底にある思想です。なのでいろんな(投げ銭の)サービスが生まれるのですが、そこで残っていくのは大変なんです。これは決して投げ銭アプリの話だけではありません。クラウドファンディングサービスもそうです。
過去にもメディア機能を持っている会社がクラウドファンディングを始めるなどしており、一時は規模の大小合わせて200個ほどクラウドファンディングのサービスがあると言われていました。もちろんサービスの選択肢がたくさんあることは悪いわけではないのですが、クラウドファンディングは運用が大変なんです。
少額のお金をたくさん扱いますし、プロジェクトを発掘したり、審査したり、どうすれば魅力的なプロジェクトになるのかも考える必要があります。僕たちは9年ほどやっているのでノウハウは溜まっていますが、これらは一朝一夕ではできません。
またクラウドファンディングは儲かりづらい。仮に10〜20%の手数料をとっていたとして、月間1000万円の流通金額で売上は100万円ほど。その結果、疲弊してしまい、サービスが終わってしまうんです。
中途半端なプラットフォームが出てきてしまうと、そのプラットフォームで過去にプロジェクトをやった人も、そこでプロジェクトを支援した人も、その事業に携わった人も、みんなが不幸になる。そういう構造は割とあるんです。そうであれば、システムや運用の部分はCAMPFIREがやるので、それ以外の得意な部分を運営している会社がやり、手数料は分け合うスキームでやったらお互いにとって良いのではないかと思っています。事業提携や買収も含め、まだまだ組めるところはあるので、今後はそういったこともやっていきたいです。