SENRI Direct Orderは小売店に対して、ブランドやメーカーからプロモーション情報が受け取れるメーカー別の発注サイトへ誘導するほか、WhatsAppを活用した発注業務機能、チャットボットによる配送状況の通知機能などを提供する。
SENRIは2020年10月時点で、アフリカを中心とした計5カ国で累計150社以上の導入実績があり、累計総取引額は約12億円、月間アクティブユーザー数は前年に比べて2.7倍ペースで推移するなど右肩上がりで成長を続けている。
「アフリカの成長に寄与したい」と考えていたというSENRI代表の永井健太郎氏。実はSENRIを起業する前からアフリカでビジネスを展開してきた。なぜアフリカでビジネスをしようと思ったのか、またそのビジネスとして小売業向け受注管理サービスを選んだ理由について永井氏に聞いた。
「教育で得たスキルを活かす場がない」課題感から起業
永井氏は新卒でJICA(国際協力機構)へ入構。アフリカやアジアなどの発展途上国で民間セクター開発・インフラ開発の仕事に取り組んでいた。その中でも、永井氏が多く担当していたのが、アフリカでの教育分野だった。
「教育は人が社会で生きていくために欠かせないものです。しかし、アフリカのような発展途上国ではきちんと教育を受けても、社会で活かす場が少なすぎる。職業訓練校の卒業生で、そのスキルを活かしている人は1割程度だったりします」(永井氏)
そうした背景から永井氏は「教育だけでなく、教育で得たスキルを活かせる仕事があることも大事だ」と考え、2015年にアフリカインキュベーター(現:SENRI)を起業。しかし、最初から小売業者向けサービスを構想していたわけではない。「何をすべきか」を模索するなか、一時はアフリカでコンサルティング業もしていたと永井氏は語る。
「アフリカで一番多い課題は何かを洗い出すため、ワークショップを開催しました。そこで多く寄せられていたのが、営業に関する悩みだったんです」(永井氏)
小売店の多いアフリカで、大手流通業者は1店舗ずつを回り、ボロボロの紙に発注内容や訪問記録を書いていたという。
「各メーカーで100個ほどある発注内容を手書きで管理するため、絶対にミスが発生してしまいます。なおかつ、営業担当が本社に戻るのは夕方ごろで、そこからまた対応が発生し、残業も増える。そんな悪循環をなくしたい思いから、現在のビジネスアイデアを着想しました」(永井氏)
そして2015年8月、SENRIはベータ版として産声を上げる。アプリとウェブを組み合わせ、これまでは紙だった発注内容のデジタル化を支援。チャットボットで配送状況を通知できるほか、小売店側からの発注業務にも対応した。最初はウガンダで事業を立ち上げ、その後ナイジェリアやケニアへと事業エリアを広げている。