現在はもっぱらApple Payの管理ツールとなっている「Wallet」も、iOS 15で進化する。デジタル身分証明書を保管できるようになり、米国の一部の州では運転免許証をスキャンするとiPhoneに取り込めるようになるという。
また、デジタルキーを保存する機能も追加され、対応するホテルに宿泊すればiPhoneやApple Watchを鍵代わりに利用できる。また対応するクルマの鍵も開錠可能となる。日常生活におけるiPhoneへの依存度が深まることへの危惧はあるにせよ、Walletアプリが財布以上の存在になることは確かだろう。
Appleデバイス間の連携が強化
Appleデバイス間の連携強化も、WWDC21の大きなテーマといえる。たとえば、macOS Montereyの新機能「ユニバーサルコントロール」は、Macの横に並べたiPadの方向へカーソルを移動するだけで、iPad側がカーソルを認識する。
しかもMacのトラックパッドでiPadを操作したり、MacとiPadの間でファイルのドラッグ&ドロップも可能になる。iPadのセカンドディスプレイ利用がよりスムーズに、シームレスに行えるというわけだ。
MacにAirPlayレシーバーとしての機能(AirPlay to Mac)が追加されたことも、複数のAppleデバイスを持つユーザにとっては朗報だ。
これまでiPhoneやiPad上の書類や写真を大型ディスプレイに映そうとすると、Apple TVあるいはAirPlay対応テレビを用意するしかなかったが、これからはMacがApple TVの役割を果たせる。音声信号も対象に含まれるため、iPhoneで聴いていた音楽をMacの内蔵スピーカーで聴く、といった使い方も可能になる。
ほかにも、話者とその言語を自動検出し、話すそばから通訳してくれる「翻訳」アプリ、高解像度の天気図に対応し太陽や雲の位置まで把握できる「天気」アプリ、難聴気味な人の聞こえを助けるAirPods Proの新機能「会話ブースト」、自分にもしものことがあったとき信頼できる人にデジタルデータを託すiCloudの「Digital Legacy」なども発表された。
例年どおりであれば、ハードウェア関連の新機能は秋の発表になるだろう。そのとき初めて明かされるソフトウェアの新機能もあるはずで、この基調講演の内容もその予測に役立つに違いない。