現在はアプリに加えてモバイルオーダー用のウェブサイトを作れる機能(Picks Original Web)も取りそろえ、数社に実際に運用してもらいながらブラッシュアップを進めている状況だ。

DIRIGIO代表取締役CEOの本多祐樹氏によると、ここから本格的にサービスの拡大を進めていく計画。そのための資金として7月1日にギフティ、ANOBAKA、イーストベンチャーズなどから総額2.4億円の資金調達を実施したことを明かしている。

飲食店のDXを支える「飲食店版Shopify」へ

「プロダクトとしては飲食店のDXを支えるバーティカルSaaSを目指しています。イメージはモバイルオーダーを軸に会員管理やマーケティング機能なども備えた、飲食店向けのShopifyのようなもの。Picksとして基盤となる仕組みを提供し、各飲食店が自分たちのニーズに合わせて最適な機能やインターフェースを選べるサービスにしていきます」

本多氏は今後の事業の方向性についてそのように話す。コロナ禍でテイクアウト需要が伸び、従来から運営していたPicksが成長。この半年強は次の打ち手として、特にPicks Appの開発と仮説検証に力を入れてきた。

DIRIGIOが手がける主要サービス
DIRIGIOが手がける主要サービス。特にこの半年ほどはPicks Appの開発や仮説検証に力を入れてきた

現在Picks Appの中心となっているのはテイクアウトに対応するためのモバイルオーダー機能だが、それだけでなく、クーポンやリワードプログラム、お知らせの配信など集客や販促のためのツールも実装されている。5月からはオンデマンド配送プラットフォーム「CREW Express」と連携し、東京都内の一部エリアでデリバリー機能も提供できるようになった。

DIRIGIOとしては今後もPicks App上などで使える飲食店向けのツールを拡充していく計画。飲食店がデジタル化を進めていく際にPicksがインフラの役目を果たし、各飲食店が顧客のニーズに応じて必要なツールやインターフェース(モバイルアプリやウェブなど)を自由に選択できるサービスが理想だと本多氏は話す。

Shopify(アプリストア)やBASE(BASE Apps)にもミニアプリのような形でユーザー向けにさまざまな拡張機能が用意されているが、それに近しい仕組みだと考えるとわかりやすいだろう。

DIRIGIOの中心メンバー
DIRIGIOの中心メンバー。中央が代表取締役CEOの本多祐樹氏

飲食店にもD2Cのトレンド、デリバリーやテイクアウトも2.0の時代

もともとDIRIGIOがPicks Appを立ち上げたのは、飲食店における「顧客接点のデジタル化」ニーズに応えるため。デリバリー、テイクアウト、ECなど販売チャネルが多様化する中で、それらの取り組みを一箇所に集約するとともに、顧客に伝えられる場所が必要だと感じたのが背景だ。