裁判官夫婦の世帯年収は3000万円!「最高レベルの子育て環境」がうらやましすぎる写真はイメージです Photo:PIXTA

子育てに手厚い職場環境の整備が国内企業で進められている。そのなかで裁判所は最も子育てに最適な職場だという。しかし、その一方で利用者へのしわ寄せが発生している。※本稿は、『腐敗する「法の番人」:警察、検察、法務省、裁判所の正義を問う』(平凡社新書、平凡社)の一部を抜粋・編集したものです。

裁判官同士の子育て夫婦であれば
2人の勤務地は自宅近辺の裁判所に

 裁判所は、子育てに恵まれた職場環境にある。それは2つの要因による。1つは、日本において最も法を遵守しようとする機関だからである。職場がその体制を最善の状態に整備しようとすることに加えて、労働者の権利を尊重する姿勢が貫徹しているからだ。すなわち産前・産後休業(産休)や育児休暇(育休)を取得しやすいように配慮がなされている。

 もう1つは、裁判官という特権的階級の存在の影響による。

 日本において最も恵まれた被雇用者として裁判官がいる。裁判所は裁判官と、書記官や事務官などの一般職員の二重構造になっている。また、家庭裁判所には、書記官よりも優遇された国家公務員の総合職に該当する専門職の家庭裁判所調査官がいて、微妙な三重構造になっているとも言える。

 家庭裁判所を用いて説明すれば、裁判官に適用されている優遇策が家庭裁判所調査官に準用される。次に、それと同様の条件が書記官・事務官にも適用される。子育てのための優遇的な対応が全体に浸透し、全体がレベルアップされる仕組みだ。

 じつは、裁判官同士の結婚はとても多い。その場合、とりわけ子どもがいれば、勤務地は近いところに設定される。双方が自宅から通勤可能な裁判所が勤務地である。一方が地方裁判所で他方が家庭裁判所というように、職場が向かい合った庁舎ということもある。

 夫婦で裁判官であれば、合計年収は3000万円程度になり経済的にとても恵まれた家庭と言える。たとえ勤務地が多少離れていて通勤手当の上限を超えるようなことがあったとしても、そのために経済的に疲弊するというようなことは起こりえないだろう。

 また男性の裁判官も1年間の育休を取得しやすい。子どものことを考えた長期の夏休みも保障される。女性の裁判官には、子どもが1学期を終了する直前から連続的に長期の夏休みに入る人もいる。

 家庭裁判所調査官の場合も、勤務地に関して裁判官の夫婦と同様の配慮がされている。

女性が圧倒的多数の家庭裁判所調査官
育休の取得率は非常に高い

 夫婦の家庭裁判所調査官が1人は家事部でもう1人は少年部で、といったように隣同士の部屋で働いていることもある。