加えて、この1年で日本でもデリバリーやテイクアウトの市場が急激に拡大したことに伴い、新たなニーズや課題も生まれているという。

「デリバリーやテイクアウトが普及してきたからこそ『デリバリー・テイクアウト2.0』のような時代が来ていると感じています。飲食店としては自分たちの世界観を反映した場所にお客さんを呼び込みたいという思いが強い。小売などにおけるD2Cの考え方と同様です。特にある程度集客ができているような店舗だと、(集客よりもそれ以外の)機能の充実性や既存の顧客とどのように繋がりを持つかの方を、より重要視されるようになってきています」(本多氏)

本多氏
 

デリバリーに関しては「Uber Eats」などを筆頭に複数のプラットフォームが次々と登場し、選択肢が広がった。こうしたプラットフォームは全く接点のない見込み客に自社の存在を知ってもらう上では強力なツールである反面、“安くない手数料”が飲食店や消費者にとっては負担になりがちだ。

外部プラットフォーム経由で自社を気に入ってリピーターになってくれたロイヤリティの高いユーザーがいた場合、店舗は注文の度に数十%の手数料を払うことにもなる。

本多氏はプラットフォームを利用する飲食店の主な課題として「高手数料率が与える収益への影響」と「(プラットフォーム上での)集客力の限界により重要度を増すリピーターの存在」を挙げている。Picksの料金についても以前は「11%の手数料モデル」一択だったところを、手数料と従量課金を組み合わせた複数プランから選べるように変えたのだという。

現在のPicksの料金プラン。月額の固定費が不要で手数料のみのプランから、月額費用が中心でその分手数料を抑えられるプランまで複数を展開
現在のPicksの料金プラン。月額の固定費が不要で手数料のみのプランから、月額費用が中心でその分手数料を抑えられるプランまで複数を展開

こうした背景もあって、飲食店においてもモバイルオーダーやデリバリーなどに対応できる自社アプリや自社サイトを作りたいというニーズは広がっている。その一方で開発会社などに依頼してイチから作るとなると、初期費用だけで数百万円単位の資金が必要となることも珍しくなく、小規模な店舗にとってはハードルが高い。

実際の運用フェーズにおいても「ログイン方法がわからない」などアプリにまつわる質問やバグの問い合わせなどが全て店舗側に寄せられてしまい、オペレーションが回らないといったケースもあったそうだ。

Picks Appの場合は最短5日、月額2万円で自社アプリを構築・運用できるのが大きな特徴(Picksと同時に利用することが前提で、Picksの利用料は別途必要)。DIRIGIOがこれまでテイクアウトプラットフォームを運営する中で培ってきたカスタマーサポート体制なども活用できるため、飲食店側はアプリにまつわる負担を増やさずに済む。