その根拠としているのが、2020年10月にFacebookが発売開始したVRヘッドセット「Oculus Quest 2」の売れ行きだ。カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチが調査した結果によれば、2021年第1四半期までにOculus Quest 2の累計販売台数は世界で460万台に到達したという。

「今後、数年で本格的にVR市場が立ち上がってくると思います。だからこそ、いまVRに全振りすべきなんです」(國光氏)

もともとファウンダー兼投資家として​​Thirdverseに関わっていた國光氏。なぜこのタイミングで代表取締役CEOに就任することを決めたのか、話を聞いた。

上場企業傘下での成長に「限界」

今回、國光氏が代表取締役CEOに就任したThirdverseは、VRのオンラインマルチプレイアクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」を開発・提供する。もともとは、ゲームジャーナリストの新清士氏(現・取締役CSO)が2013年4月に“よむネコ”という社名で立ち上げた会社だ。

当初はスマートフォン向けの脱出ゲームの開発・運営を行っていたが、マネタイズで苦戦し、方向転換を余儀なくされる。新たな道を模索していたとき、新氏がVR用コントローラー「Oculus Touch」のデモ機に触れたことがきっかけとなり、VRゲームの開発に取り組み始める。

その後、新氏は、2015年にOculusの開発者会議「Oculus Connect 2」の報告会を東京で行った際、國光氏と出会い、意気投合。VR・AR・MRなどXR領域のスタートアップに資金やワークスペース、バックオフィスサービスなどの支援をすべく、gumiが2015年12月に設立したTokyo XR Startups(旧:Tokyo VR Startups)に取締役として参画した。

また、Tokyo VR Startupsのインキュベーションプログラム第1期企業によむネコが採択され、VRゲームの開発が本格化。2016年12月にはVR脱出ゲーム「エニグマスフィア~透明球の謎~」をリリースしている。

2017年にはgumiがよむネコの株式を取得し、グループ化。gumi傘下でVRゲームの企画・開発に取り組んだよむネコは約2年の開発期間を経て、2019年にソード・オブ・ガルガンチュアをリリースした。だが、彼らは途中で限界を感じ始める。そのことについて、國光氏はこのように語る。