健康や安全に関する情報には強いニーズがあります。(SmartNewsが評価されている)ローカルな情報の延長線上にあるニーズです。人の命を救う情報で公共性も高いので、今後もこのような機能を強化していきたいと思っています。例えば山火事に関する機能です。カリフォルニア州は山火事が多く、多くの方々が被害を受けています。

2019年に資金調達を実施した際に、グローバルな開発体制を構築しました。以降は米国で開発した機能を日本でも提供したり、その逆も可能になっています。そのため、米国向けに開発した健康や安全に関する機能を、日本でも提供する可能性はあります。

──コロナ禍でニュースアプリであるSmartNewsの役割は変わりましたか。

「読者に良質な情報を届けていく」という我々の役割は変わりません。一方で「新規感染者数」など、ユーザーが必要だと感じる情報はコロナ禍で変わったと言えます。

そしてNews From All Sidesのように、リベラルとコンサバティブがお互いの意見を知ることができる機能はより一層必要とされていると感じます。去年、大統領選挙の際には6つの州でユーザーインタビューを行いましたが、News From All Sidesは好評でした。

2024年には次の大統領選挙が行われるため、新機能を検討しているところです。政治的分極化の解決には長い時間軸で対応していく必要があります。分断が急激に回復するということは考え難いからです。

本質な問題は何なのかを理解するためにも、外部の識者を集めて勉強会を開くなど、3年後に向けて準備しているところです。

SmartNewsは元々、ユーザーの関心があるニュースを伝えていくアプリとして始まりました。私たちが挑戦していかなければならないのは、いかに興味や関心の幅を広げていくかという点です。今後は視野を広げるためのレコメンデーションエンジンを作っていきたいと考えています。社内では「パーソナライズドディスカバリー」と読んでおり、発見的な体験の提供を目指しています。

SNSでニュースを読む人が増えていますが、それではどうしても読むコンテンツが偏ってしまう。一方、SmartNewsでニュースを読めば、自分が欲しい情報に加えて、必要な情報も手に入る。人々にとって本当に必要な情報とは何かを考え、そのような情報を提供できるニュースアプリを目指します。News From All Sidesはその目標に向けての大きな一歩だったと思います。