Alpha Exploration・CEOのPaul Davison氏も会見で「今年の初頭、我々の意図に反して、世界中で急速にユーザー数が増えたのでとても驚きました。コミュニティが突然大きくなりすぎるとサービスが崩壊してしまいかねないので、少しずつ拡大していこうと考えていた矢先のことでした。ユーザーの爆発的な増加はとても嬉しいことでしたが、当時の我々は正直、急なスケールに対応できるほど組織の体制が整っていませんでした」と話す。

Clubhouseは4月、Andreessen Horowitzをリード投資家としたシリーズCラウンドで、金額は非公開だが資金調達を実施。企業価値にして40億ドル(約4477億円)規模のスタートアップへと成長を遂げた。同社では調達した資金をもとに規模を拡大し、開発を進めてきた。そして体制が整ったため、2021年中に日本語を含む数カ国語での本格的な展開に踏み切った。

Alpha Exploration・国際部門統括責任者のAarthi Ramamurthy氏によると、アプリだけでなく、カスタマーサポートや、利用規約である「コミュニティ・ガイドライン」も日本語化される予定だ。

日本でもマネタイズ機能の実装を年内に目指す

SNS大手のTwitterがClubhouseの競合機能とも言える音声チャットの「Twitter スペース」を5月に正式ローンチするなど、競合サービスや機能が増えている。

ユーザー数の推移や日本におけるユーザー数について会見で質問すると、Davison氏は明言こそしなかったものの、「今年の8月上旬は毎日30万ものルームが開設されていました。その数字は8月末時点で倍以上になっています」と説明。ユーザー1人あたりの滞在時間は世界平均は70分程度だが、日本人ユーザーの滞在時間は特筆して長く、「夏ごろは101分だったのが、今では113分になっています」と語った。

Twitter スペースには「チケット制スペース」という、クリエイターの収益化を支援する機能がある。Clubhouseでは米国で投げ銭機能「Payments」を提供しており、日本でもマネタイズ機能の実装を年内に目指すそうだが、具体的にどのような機能になるのかは決まっていない。Davison氏は「ルーム入場の有料化、月額課金、投げ銭などが選択肢としてあります」と説明する。

Davison氏は会見で「日本は最重要市場」と意気込み、「日本語への対応など、いろいろな事への準備が整ったので、もう一度日本でブームが起きても大丈夫だと思っています」と話した。とはいえ、ブーム真っ只中の重要な時期に日本ユーザーのサポートを怠っていたのも確かだ。