上場企業や上場準備企業からも評価される理由

カードの利用を進めていく上で「会計業務の効率化」や「ガバナンスの強化」を実現する機能も提供しており、これが上場企業や上場を見据えた企業からも支持を集める大きな要因となっている。

「どの保有者が何のためにカードを使用していて、月間の利用上限のうちどのくらいの金額を使っているのか。それがプラスチック(の物理的なカード)で存在しているのか、バーチャルで存在しているのか。このような情報を経営層や管理者が一元管理できる『ソフトウェアサービス』になっています」(宮城氏)

UPSIDERでは裏側のシステムを内製化することで、決済情報がすぐに利用明細として反映される仕組みを構築。あらかじめ単位ごとにカードを発行しておけば、細かい粒度で自社にまつわる決済の状況を瞬時に把握できるようにした。

利用する部門や用途などに応じてカードを発行することで、それぞれの利用状況をリアルタイムに把握できる
利用する部門や用途などに応じてカードを発行することで、それぞれの利用状況をリアルタイムに把握できる

実際に従業員数が200〜300人規模のとあるIT企業では、月末月初に行っていた膨大な量の経理業務がUPSIDER導入後は大幅に削減。体感値ではあるものの「年間100時間分の削減効果があった」という。

予算の上限などはカードごとに管理が可能で、事前に承認が降りていない場合には一時的に利用をロックする仕組みも搭載。不正利用があった場合の保険も最大1000万円まで用意している。

カード一覧設定画面
 

コロナ禍ではバーチャルカードのニーズが高まったが、画面上に番号を表示するのはリスクが大きい。これに対応する形で2要素認証などセキュリティ面の強化にも力を入れてきたこともあり、直近では上場企業からの問い合わせも増えてきているという。

「利用限度額が大きいという点は特に経営層やCFOの方にとってわかりやすい特徴として、導入や問い合わせのきっかけになっています。一方で管理部の方々の間で口コミとして広がっているのは、会計処理のやりやすさや上場に向けたガバナンスの強化の観点です。UPSIDERを入れておけば(監査法人や証券会社などに対して)対外的な説明がつきやすいという点に価値を感じていただけています」(宮城氏)

「UPSIDERを選ばない理由がない状態」を作る

UPSIDER代表取締役CEOの宮城徹氏
UPSIDER代表取締役CEOの宮城徹氏

UPSIDERは宮城氏とCOOの水野智規氏が共同で設立したスタートアップだ。宮城氏は前職のマッキンゼー・アンド・カンパニーで商業銀行を中心とした金融機関のサポートに従事。その当時から法人カードにまつわる事業者の悩みを聞く機会も多かったという。

一方の水野氏はユーザベースに初期のメンバーとして入社し、NewsPicksの立ち上げなどに携わった後、グループ全体のマーケティング責任者も担った。その際に自身がユーザーとして法人カードの課題を感じたことが、宮城氏ともにUPSIDERを立ち上げた大きな理由になっている。