さきほど掲載したPS PlusとNSOとの料金比較表に、「+追加パック」の金額も加えた表にしてみよう。

 

なんとNSO+追加パックの料金は、PS Plusとほぼ同額。これは、偶然の一致ではないというのが筆者の考えだ。

世界で3389万本売れた「あつまれ どうぶつの森」の有料ダウンロードコンテンツ

サブスクリプションサービスを設定する時、悩ましいのが料金設定だ。高すぎると利用者数が減ってしまうし、安すぎると利益が下がる。「できるだけ高い金額設定にしたい」と考えるのはビジネスとして当然だ。

そんな時、参考になったのがPS Plusの価格設定だったに違いない。任天堂はライバルのサービスをみて、「社会人であれば年額5000円程度であれば支払える」という確信を得たのだろう。

そして同時に、現状年額2400円で利用できるNSOに対して、「これまでに加えて、NINTENDO 64とメガドライブのタイトルも遊び放題になります」と宣伝しても、ユーザーがすんなり受け入れる価格設定は従来の料金設定のままか、せいぜい年額2400円が2980円になる程度が許容範囲という感覚なはずだ。しかし、任天堂としては料金設定を5000円近くにまで値上げしたい。その時に利用したのが、大ヒットソフト『あつまれ どうぶつの森』だったのだろう。

任天堂の決算発表によると、『あつまれ どうぶつの森』の販売本数は、日本国内だけで950万本(DL版の販売分を含む)。世界合計では3389万本。これだけのメガヒットとなったゲームタイトルの有料ダウンロードコンテンツとなれば、世界で1000万本以上の売上が期待できる。この有料ダウンロードコンテンツは単品2500円でも販売されることも決まっているが、この人気を追加パックの加入者増加のために利用したに違いない。「単品で有料DLC(ダウンロードコンテンツ)を買っても2500円。NSOに追加パックを足しても(最高)で2500円/年」という、この絶妙な価格設定である。

ユーザー層の入れ替わりと共に変わりつつあるレトロゲームの価値観

任天堂のWiiが発売された当時、過去のゲーム機用に作られたゲーム(レトロゲーム)を遊べる「バーチャルコンソール」と呼ばれるエミュレーターソフトがあった。ユーザーはファミコンやスーパーファミコン、NEO・GEO、MSXなどのレトロゲームを1本数百円というリーズナブルな価格で購入し、WiiやWii U、ニンテンドー3DS上で遊ぶことができた。2007年10月10日に開催された「任天堂カンファレス2007.秋」において、バーチャルコンソールの総ダウンロード数(全世界合計)が780万本に達したという発表をしていることから、当時は商売として成功を収めていたことは確かだ。