これと同様のサービスは、PlayStation陣営でも存在した。「ゲームアーカイブス」と呼ばれ、PlayStation 3やPSP、PlayStation VitaでPlayStation 2やPCエンジンのゲームを遊べるようになるというものだ。

しかし、レトロゲームを喜ぶ客層は、「かつて遊んでいたゲーム」「昔に遊びたかったゲーム」を求める大人ゲーマーが中心だ。筆者の仮説では、1980年代後半が人気のピークだったファミコンの場合、当時小学生以上の年齢、つまり最低でもその6年前には生まれていたと仮定すると、1980年生まれ=現在では41歳以上という計算だ。新たに追加されたNINTENDO 64の場合は2000年ごろがピークなので、1995年生まれ=25歳以上でなければ懐かしく感じられない。

そうなるとレトロゲームを好む大人ゲーマーが急増する要素は乏しく、売上は年々低下していくだろう。苦労して権利関係をクリアにし、商品に追加した新タイトルが思ったほど売れないというリスクもある。ならば、サービス提供側としては「サブスクリプションで、これだけのゲームが遊べます」という料金設定のほうが、各タイトルの売上本数予測を立てる必要もなくなるうえ、中長期的に見れば単品販売より大きな売上となる可能性が高い。

かつて「懐かしのゲームタイトルが最新機種でも遊べる」としてユーザーを集めていたレトロゲームビジネスだが、若いユーザーが増え、「過去の名作ゲームが『たくさん』遊べる」という、タイトル依存の低いサービスに姿を変えつつあるというわけだ。

サービス紹介の順番に感じた違和感

任天堂のウェブサイトで「追加パック」について説明しているページを閲覧していると、違和感がある場所があった。それは「追加パック」に含まれる3つのサービスの「並び順」だ。

NINTENDO 64のゲームとメガドライブのレトロゲームを順番に紹介するかと思いきや、その間に『あつまれ どうぶつの森』の有料DLCを紹介しているのである。

筆者が気になった「追加パック」の並び順
筆者が気になった「追加パック」の並び順

これはNSOのトップページでも同じ順番(こちらは縦並び)になっているので、並び順は意図的なものであることがわかる。

「任天堂のサービスを先に紹介したい」のであれば、この並びは『あつまれ どうぶつの森』、NINTENDO 64、メガドライブとしても問題ないはずだ。にも関わらずNINTENDO 64、『あつまれ どうぶつの森』、メガドライブという並びにしたのは、追加パックによってバラエティ豊かなサービスが追加されるイメージを演出したかったのか、はたまた「サービス内容が異なる2種を混在させた新サービス『追加パック』のバリューに、提供側も不安を感じているのではないか」と感じるところもあった。