小日向氏は歴史が好きなアイドル「歴ドル」として活躍した経歴を持つ人物だが、2020年5月末で所属していた芸能事務所・サンミュージックを退所。芸能界からも引退している。歴ドルとして活動していた小日向氏がなぜ、次のキャリアとして起業の道を選んだのか。また、アクティブシニア向けにサービスを展開する狙いについて話を聞いた。

“さかなクン”の歴史版を目指した芸能生活

15歳(高校1年生)から芸能活動をスタートさせた小日向氏。活動当初は「モデルや写真の仕事に興味があった」という。だが、高校を卒業し、横浜国立大学に入学してから歴史に興味を持つようになり、歴ドルを目指すことにした。

「当時、目標にしていたのは“さかなクン”の歴史版です」と小日向氏は振り返るが、歴ドルとして認知され、レギュラー番組を持てるようになるまでは多少の時間がかかった。

「芸能活動を振り返ってみて、レギュラー番組を持てるようになるまでがすごく大変でした。“人生グラフ”で言えば、大学1〜2年生の頃が最悪だったと思います」

「当時そこまで稼ぎがないのに、両親には『仕送りはいらない』と言っていたんです。生活費を切り詰めていたものの、月末に銀行口座の残高が200円くらいになることはよくありました。当時、住んでいたマンションの大家さんから『庭にニラが生えてるから取って食べていいよ』と言われていたので、庭から採取したニラを使ってチヂミをよくつくっていました」(小日向氏)

そんな“どん底”とも言える状況を打破するきっかけとなったのが、インターネットだった。小日向氏は自身のことを“オタク”と言うほどのインターネット好き。小学4年生の頃からパソコンに触れていて、チャットで見ず知らずの人と会話していたという。また、中学生・高校生の頃にはホームページをつくったり、ブログを書いたりしていた。

「高校生の頃、自分の趣味について話せるクラスメートはあまりいないじゃないですか。例えば、私は写真部に所属していたのですが、自分が好きなトイカメラについて話せる人が全然いませんでした。それで趣味に関するホームページをつくってみたところ、同じ趣味を持った人たちが来てくれて。その人たちと交流するのが楽しかったんです」(小日向氏)

そうした経験が、歴ドルとしての仕事を獲得するのに生きた。2008年ごろから、今で言う“ウェブマーケティング”のようなことに取り組んでいたという。

「歴史系の検索ワードに引っかかるように、戦国史や三国志、幕末などをテーマにした複数のブログを開設しました。カテゴリーを分ければいいだけの話なのですが、SEO(検索エンジン最適化)を意識して別ドメインで立ち上げました。そのブログ内にコンテンツを溜めていき、歴史系の検索ワードで検索したら、私のブログにたどり着くようにしたんです。ただ、当時はウェブマーケティングの意識は全然ありませんでした(笑)。とにかく自分が好きなネットの知識を生かして、何かしなければという思いで必死にやってました」(小日向氏)