天秤にかけられた不安な未来
それでも私は詠み続ける

不整脈
戦争と平和』
中頁開く

 頻脈というのがあります。脈拍が増えるのが頻脈です。不整脈は、心臓に異常があることです。

『戦争と平和』というのは、私たちの偉大な作家、レフ・トルストイの長編小説です。大作で、とても大きな哲学的意味がこめられています。その中頁が開かれているというのは、何が起きるかわからないこと、つまりこれもまたウクライナでの出来事を指していて、未来が天秤にかけられています。この先どちらに傾くかわかりません。

 まるで不整脈のように、戦争が起きていて、天秤がさらなる戦争か、それとも平和かのどちらかに頻繁に傾きます。心臓そのものが異常を起こしているのです。ですので、こういう俳句になりました。

 Q―いまのご自分の気持ちなのですね。

 そうですね。『戦争と平和』の中にも、これに関連した問いがとてもたくさんあるからです。とても偉大な作品で、全世界で知られています。そして天秤は、この先も人が殺されるのか、それともとにかく休戦になってこれを平和に導くなんらかの方法を見つけられるのか、どちらかに傾きます。

 今後もこれが長引けば、戦争という皿のほうが重くなります。現在は、中ほどが開いてあり、戦争がより重くなるのか、平和が重くなるのか、わかりません。だから『戦争と平和』なのです。これでわかってもらえるといいなと思います。

不眠症
すべて一つの
雫の音

 Q―あなたは不眠症になったのですか?

 はい。これについて何かを見たり聞いたりしはじめたとき、聞けば聞くほどこれに引き込まれていきましたから……。私の娘は心理療法士なんです。私は娘の本を読み、娘と話をしました。彼女が言うには、私が陥っているのは、情報を吸収するよくない掃除機のようなものだそうです。

 これが私を引き寄せて、私はその中で煮込まれ、そこにますます引き込まれていくようになります。そうすると、私の中には恐怖が形成されていきます。

 テレビを見るのをやめて、ラジオのニュースを聞くのをやめなければなりません。そうでなければ、これは私を引き込んでいきますし、そうなったらもうおしまいです。

 多くの人びとは自分の尺度で暮らしています。ウクライナで起きていることは自分には関係ない、ここにはすべてがあるし、私のところではすべてが整っているので、私はこうして生きていく、と。