気候問題は世界の左派にとって宗教になった。しかし、人々を助けようと真剣に取り組んでいる最も組織化された宗教とは異なり、現在の気候を巡る活動は、比喩的に言えば異端者を火あぶりの刑にし、人類を困窮させる以外どんな目的にもかなわない共同犠牲を求めるものだ。ドバイで今月開かれている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)での食肉消費削減の訴えについて考えてみよう。化石燃料やガソリン車の追放だけでは、「ネットゼロ(温室効果ガスの排出実質ゼロ)」という気候ロビーの約束の地の実現には不十分だ。今や人々は、自分たちのリブアイステーキやペパロニピザをあきらめる必要がある。こうした食肉撲滅運動は勢いを増しつつある。昨年の国連の報告によれば、人々が食べる食肉の量を減らすことで、世界全体の天然ガス燃焼で発生する二酸化炭素(CO2)とほぼ同じ量である約7ギガトン(ギガは10億)のCO2を削減しなければならない。