沈黙するOpenAIは、新AIチップ待ち

 こうしたGeminiを巡る騒動に関して、比較対象となったChatGPTを擁するOpenAIは、特に反応を示していない。少なくともGemini Ultraが実際に提供されてみないと真の比較はできない上、その頃にはChatGPTもさらに進化しているはずなので、あまり気にかけていないとも考えられる。

 それよりも彼らの関心事は、早ければ2024年の10月には出荷が開始されるRain AIのニューロモーフィック・プロセッシング・ユニット(NPU)にあるはずだ。同社はサム・アルトマンCEOが個人的に100万ドル(約1億4000万円)以上投資しており、人間の脳の働きを模したチップといわれるNPU完成の折には、OpenAIが5100万ドル(約72億3000万円)を拠出して調達するとの趣意書を交わしている。

 アルトマンは、現在主流の大規模言語モデルやGPTでは真のAGI(汎用AI)に到達できないと見ており、OpenAIがその先のブレークスルーを行う上でNPUが不可欠なのだろう。そのため、2024年のOpenAIはGPT-4の改良を続けながら、NPUを生かせる新たなAI技術の開発を加速させていくことになりそうだ。