ChatGPTPhoto:123RF

昨年12月に公開された生成系AI「ChatGPT」は、たった3カ月で1億ユーザーを達成。テクノロジーに詳しい人の間で大ブームとなっている。これまで他にも言語AIはさまざまあったのに、なぜChatGPTはこれほど大きな話題となっているのか。また、ChatGPTの台頭に危機感を強めているのがGoogleである。ChatGPTの意義とビジネスモデル、そしてGoogleの危機感について解説する。(テクノロジージャーナリスト 吉田拓史)

ChatGPT登場の意義とは?

 ChatGPTの登場の意義は、大規模言語モデル(LLM)と呼ばれるAIが、便利なツールになり得ることを世間一般に対して初めて知らしめたことだろう。「言葉を生成するAI」の使い方として、対話型(チャット)という形式が消費者にハマることが、1億人のユーザーを獲得したことで証明された。

 ChatGPTは得意な領域で動作する分には非常に快適な体験をユーザーに提供する。一方、ChatGPTが事実に基づきながらも偽の情報をでっち上げることも知られる。「インターネットの父」であるヴィントン・サーフは、ChatGPTを支えるテクノロジーについて「スネークオイル」(まやかしの万能薬)だと非難した。

 AIが既知の知識の外側を埋めようとすることを「幻覚」と呼ぶ。このような例は枚挙にいとまがなく、最近では、科学的な質問に答えたり文献調査ができたりする科学者のようなAI(人工知能)であるGalacticaがそれを引き起こした。科学的な質問に対して、デタラメな内容や人種的偏見が含まれており、公開からわずか2日で停止に追い込まれた。

 それでも、ChatGPTの登場は画期的な瞬間のように見える。2017年にその基盤となる技法が提案されて以降、LLMの試行錯誤が続いてきた。ソフトウエアのサイズが増えると、AIのクオリティーが増すことが通説になると、サイズはみるみるうちに大きくなった。ChatGPTの大元の言語AIである「GPT-3」は、この傾向に先鞭を付けたともいえるが、ChatGPTはこれを一般のユーザーが享受する方法を編み出した可能性がある。