仕事未満だったものを「仕事化」する
今回のリニューアルではメッセージ機能や募集の一覧・検索機能に加えて、報酬付きの募集を掲載できる仕組みと決済機能が追加された。
石倉氏が語ったところによると、bosyuではこれまでにも、ユーザー間で仕事の受発注が行われるケースがあったという。たとえばあるユーザーが「服選びが面倒な人の変わりに服を選ぶ」旨の募集をしたところ4件の応募があり、お礼として1人あたり3000~5000円の報酬をもらえた事例があった。
この募集を作成したユーザーはスタイリストとして働いているわけではなく、純粋に服そのものや服を選ぶことが好きなだけの人物だった。つまり自分が得意なこと、普通にやっているだけのことが、他の誰かにとっては「お金を払ってでもお願いしたい」と思うほど価値があることだったのだ。
リニューアルを実施してから2週間。bosyuでは報酬付きのものも含めて、新たに2000件以上の募集が作成された。すでにお金を受け取って仕事をしたり、支払って何かをしてもらった人の数も250人を超えているという。
「早起き習慣の指導します」「電話予約を代わりにやります」「デートプラン考えます」「レストラン選び手伝います」「引っ越し手伝います」「出産祝い選びます」「ハンドメイド得意な方探しています」「機械に詳しい方探しています」――。
実際に作成された報酬付きの募集も内容は人それぞれ。報酬金額は現時点では500円、1000円、2000円、3000円、5000円、9000円から選択して設定できる。「イラストを描く」「デザインを考える」といった、これまでも仕事として認識されていたような募集が目立つ一方、今までは仕事として認識されていなかったり、クラウドソーシングやスキルシェアといった仕組みでは流通してこなかった募集も少なくない。
「チーム内ではよく『仕事未満だったものを仕事にしたい』と話しています。今は職種などで規定されているものが『仕事』として考えられがちです。ですが、そういったものじゃなくても誰かの役に立ったり、感謝されたり、お金を払ってでもやってほしいと思われることはたくさんあるはず。bosyuを通じてそれらを仕事化するのが1つの目標です」(石倉氏)
個人間の仕事の受発注をなめらかに
bosyuはもともとデザイン・インキュベーション・スタジオのBasecamp(2019年7月、レシピ動画サービスを手がけるdelyが買収)が2018年4月に公開したサービス。同年7月に石倉氏が取締役COOを務める人材スタートアップ・キャスターが事業譲受する形で運営を引き継いだ。キャスター内でサービスを育ててきた後、さらなる事業拡大を視野に2019年7月に石倉氏が代表に就任する形で分社化した。