反骨の評論家となった
2人の「脱藩官僚」

福田康夫元首相福田康夫元首相 Photo:SANKEI

 東京・港区にある中高一貫6年制の男子校だ。「自由闊達そのもの」の校風を誇っている。日本の名門私学の典型であり、英国のイートン校やハロー校によく例えられる。

 キャリア官僚OBには、退官後も古巣の役所の応援を続ける「過去官僚」と、退官後は霞が関の中央官庁や官僚批判に走る「脱藩官僚」の2つがある。

 後者の立場を貫いて反骨の評論家になっている麻布OBを、まずは紹介しよう。

 文部科学事務次官を務めた前川喜平が、その典型だ。加計学園による獣医学部新設問題で「行政がゆがめられた」と告発し、安倍内閣を揺るがす大きな政治疑惑となった。旧統一教会問題でも、銃殺された元首相・安倍晋三(東京・私立成蹊高校卒)の関与を指摘した。

 もう一人は、経済産業省出身の古賀茂明だ。内閣官房に出向した際、公務員の行政改革問題で正論を吐き、干されてしまった。退官後は、『官僚の責任』『日本中枢の崩壊』などを著し、忖度なしに役所批判を続けている。

 もちろん「過去官僚」が、圧倒的に多い。

 経産省の事務次官を務めた松永和夫は麻布高校卒で、古賀の4年先輩だ。原子力安全・保安院長などを経て2010年から11年8月まで次官を務めた。11年3月の東電福島第一原発の事故当時の事務次官であり、政官財学の「原子力ムラ」の中枢を歩んできた人物だ。古賀が役所を退職せざるを得なくなった時の事務方トップでもあった。現在は、三菱ふそうトラック・バスの会長だ。

 大蔵・財務官僚では、金融庁長官をした森昭治、国税庁長官をした大武健一郎、元財務官の玉木林太郎らがOBだ。

 日本郵政元社長の坂篤郎も大蔵官僚出身だ。民主党から自民党に政権が移行する直前の12年12月に社長になったが、13年6月に自民党内閣の下で社長の座を追われた。

 事務次官を経験した麻布OBでは、田村義雄(環境省)、奥原正明(農林水産省)らもいる。

 旧内務官僚出身で、宮内庁長官を1953年から25年間、務めた宇佐美毅も旧制麻布中学の卒業生だ。59年の皇太子明仁親王(現上皇)の美智子妃(現上皇后)との婚姻に奔走した。

 厚生労働省で年金局長、雇用均等・児童家庭局長などを歴任した香取照幸は退官後に、一般社団法人未来研究所臥龍を設立した。