コロナ禍が終わってから初の年末年始。久しぶりに家族と会う人も多いのではないだろうか。しかし、喜びの声ばかりではない。コロナの「お陰」で家族と会わずに済んでいた人からすると、家族の集まりこそ災禍だ。「仕事をしていたほうがマシだった」という正月にはしたくない。嫌いな家族と平和に過ごすコツを、家族問題カウンセラーの山脇由貴子さんに聞いた。
年末年始の帰省が
しんどいのはなぜか?
コロナ禍が明けて初めて迎える年末年始休暇ということで、今回の帰省が4年ぶりという人もいるようです。
これまでコロナの「お陰」で帰らなくてよかった夫や妻の実家。せっかくの休みなのに、気を遣う環境で過ごさないといけない。心理的な負担は例年以上になると思われます。
そもそも、なぜ義実家への帰省は辛いのでしょうか。
一つは、帰省の非日常性が挙げられます。慣れ親しんだ自分の家とは異なるので、まったく落ち着きません。それに義父母やその他の親族を含めると大勢が集まりますから、中にはそりが合わない人がいたり、不用意な発言で場を凍らせたりする人がいる可能性が高い。こうしたコントロールが効かない状況で、ストレスにさらされやすくなっているのです。
もう一つは、こちらのほうがより強いストレスがかかりますが、配偶者の理解不足です。特に夫は実家に帰ると息子モードのスイッチを入れて存分に休みを満喫しようとします。妻が姑から小言を言われたりしてメンタルがすり減っていても、「まぁまぁ」などと言ってまともに取り合わない。妻のほうも夫なしで実家に帰ったときに、夫の愚痴をこぼしていたりします。夫以外の3人で夫婦の内情が共有されている中に放り込まれる夫も相当なプレッシャーでしょう。稼ぎや家事・育児に対する妻の不満を義父母から伝えられる人もいるようです。
他にも様々な要因があります。たとえば、娘や息子が大きくなると「地元の友達と遊びたいから行かない」と実家に帰省しなくなったりします。「〇〇ちゃんは帰ってこないのね」と義父母から言われるでしょうし、孫に向いていた注意が、自分に向くことも考えられます。
このように帰省は、構造的にストレスが溜まりやすい環境であることをまずは理解することが大切です。解決策の方向性としては、環境的要因はコントロールできないので、配偶者の理解を深めることが効果的でしょう。