【4資本】

 第4の資は「資本」です。やりたいことをやる資格を得て、自らの資質に合った役割につき、資源を費やして仕事に取り組むことにより、強みが身につきやすくなります。一般的に「資本」はお金というイメージがありますが、ここでは資本を「1.マインドセット」「2.思考力・判断力」「3.専門性・技術」「4.実績・信頼・評価」「5.人脈」「6.お金」に分類し、資産を形成するために必要な強みとして定義しています。

【5資産】

 第5の資は「資産」です。資産はキャリアの最終ゴールとなりうる価値のことです。私たちの働く理由と言ってもいいでしょう。具体的には、「1.相互信頼とつながり」「2.金銭的な余裕」「3.人や社会への貢献実感」「4.自分なりに感じる価値」「5.いい思い出」、これらが本稿における資産に相当します。キャリアに悩み始めたときは、自身の現状をこの「5つの資」の枠組みで俯瞰して、もやもやした不安の正体を明らかにして今後のアクションに結びつけていきましょう。

5つの「資」には
年代別のフェーズがある

 これら5つの資は、年代に応じて適したフェーズがあります。記載している年代は絶対的なものではなく、個人の環境や業種・職種によって差がありますので、あくまでも目安として捉えてください。

●10~20代は機会を得るフェーズ

 10~20代は、他の年代と比べ挑戦できる機会が多い時期です。もちろん、30~40代(人によっては50~60代)からでも自ら機会を創り出すことで新たな挑戦はできますが、挑戦に必要な【2資源(体力・時間など)】が十分でないばかりか、自分のやる気があっても加わりたい組織に受け入れてもらえなくなることが増えます。

 たとえば、民間企業であれば求人票で表立って年齢制限は記載しないものの、望ましい年齢ゾーンを設けていることもあるでしょう。すべての年齢層に向けて門戸を開いている求人のほうが稀かもしれません。その点、10~20代であればまだ十分に資源を活かして機会を得ることが可能であり、他の年代と比較したらチャンスが溢れている「旬」でもあります。これを逃すとあとでリカバリーすることが難しくなることもあるので、体力・チャンスが十分にある時期に動くことが重要になります。