定年後「抜け殻」になる危険度チェックリスト、サラリーマン思考から脱却を写真はイメージです Photo:PIXTA

定年と同時に、抜け殻になってしまう人がいます。特に、出世のために「会社100%」で生きてきたような人は、それを失ったときの喪失感や無力感があまりにも大きいのです。老後にヒマをもてあます「ただの人」にならないためには、定年後も働くことをおすすめします。

※本稿は、田中靖浩『ただの人にならない「定年の壁」のこわしかた』(マガジンハウス新書)の一部を抜粋・編集したものです。

この先、日本で何が起こるのだろうか?

 平日の昼間、ご近所を散歩してみましょう。しばらく歩くと「老人が増えた」ことに気付きます。病院、公園、図書館、喫茶店には老人の姿が目立ちます。スーパーやレストランでも働く高齢者をたくさん見かけるようになりました。それもそのはず、すでに日本は「3人に1人が高齢者」の国です。

 私が小学生だった50年前、公園で遊んでいたのは子どもばかりでした。あの頃、老人は「10人に1人」もいなかったのです。50年前には全人口に占める65歳以上の割合は「7%」でしたが、現在は「30%」。いまや公園で遊ぶ子どもの声がうるさいと老人がクレームをつけます。

 少子高齢化がこれほどの猛スピードで進んだ国は他に例がありません。これからさらに平均寿命が伸びると年金・医療、税制、雇用のあり方に大きな変化が起こります。それは避けられない変化であり、すでに始まっています。

 他国の政治家や研究者たちは、かたずを飲んで日本を見ていることでしょう。「この先、日本で何が起こるのだろうか?」と。

サラリーマンの未来はどうなる?

 さらにご近所を歩いてみましょう。寂しげな商店街にはシャッターを下ろしたままの店が増え、人口減少とともにお店減少まで進んでいます。

 しかしながら、寂しげな商店街にいくつかの新規開店を見かけます。美容室、フィットネスジム、学習塾。これらのオーナーのなかにいわゆる「脱サラ」開業者がいます。彼らの新たな門出を祝福したいところですが、成功するのはかなり難しい様子。残念ながら短い期間で店をたたむ例もあります。

 50年前の昭和半ばの頃、自分の店を出すのはふつうのことであり、それで家族を養う人たちがたくさんいました。いまや脱サラで商売を始めるなどクレイジーだと思っている人がほとんどです。

 この50年で「小さな商売人」が減り、組織で働く「サラリーマン」が増えました。しかし最近、サラリーマンという生き方が危うくなっています。すでに役職定年をはじめとした高齢社員への冷遇が始まっており、彼らは不安を感じています。「この先、私はどうなってしまうのだろう?」と。