日本人の雇用は大きな転換期を迎えている。一人ひとりが長い人生を生き抜くために、自身のキャリアと将来を見据える必要に迫られつつあるのだ。しかし、突然「キャリアと向き合え」と言われても、何をすればいいのかわからない人も多いはず。これまで多種多様な業界・企業で採用や人事に携わってきた青田努氏は、キャリアを考えるには、まず「外部化」する必要がある、と語る。本稿は、青田努『図解「いいキャリア」の育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。
間近に迫る
終身雇用制度の終焉
「人生100年時代」「リスキリング」などの言葉を耳にする機会が増え、経営が安定している会社として人気のある日本の大手製造業の中でも「将来の雇用は保証できない」とトップ自らが従業員に向けて発信する時代になってきました。
不確実性が高まり続け、社会自体がどうなるかわからない今の時代においては、もはや所属組織の指示通りに働いていること自体がキャリア上のリスクになってしまう可能性すらあります。しかし、キャリアというものは曖昧で漠然としていて、しかも長期戦で先が見えにくく、考えることが億劫になりがちです。
「自分のキャリア、このままでいいのかな」
「会社の看板に依存せずに働きたいけど、どうすればいいのだろうか」
「自分の強みがわからない」
「何のスキルを身につけていけばいいのだろうか」
「ベンチャーで働いている友人のほうが充実しているように見える」
「今の職場は正直ぬるく感じるけど大丈夫だろうか」
といった不安が頭の中でグルグル回っているうちに、気づけば前進しないまま数年が経過してしまうこともあるでしょう。
そのような曖昧なものに対しては、枠組みや地図が必要不可欠です。頭の中は自分からは見えないので、書き出す・言葉にする・枠組みに沿って整理していくなど、外部化してみないといつまで経っても扱いづらいままです。見えづらいものは、見えやすくする必要があります。
そこで、キャリアを考えるときの補助ツールとして「5つの資」のフレームを用意しました。自分自身の現在地点や、満たされているもの、これから得るべきものなどを見つめ直すためのフレームです。不安な状態から一歩前進するためには、悩みごとの解像度を高めたり、分解したりして、「曖昧で大きいかたまり」から「具体的で扱いやすいサイズ」に変えていくことが効果的です。以下に図にまとめていますので、ぜひ活用してみてください。
図にもあるように、キャリアは【1資格】→【2資源】×【3資質】→【4資本】→【5資産】という捉え方をすることができます。奇しくもすべて「資」がつく単語です。