彼らと話していると、話しているこちらまで自分の存在を大切にしようと思えるようになれる。黄タイプは、とにかく明るい性格なのである。

 黄タイプは、感情タイプとも言い換えられる。決断力が速いのは赤タイプに似ているが、その決断を下したきちんとした理由を述べることはめったにない。「これでいいと思った」が精いっぱいの説明であろう。

 でも、直感の力をバカにはできない。直感というのは、割と当たるものだという研究結果も存在するからだ。でもここでは直感よりも、感情に任せた決断の仕方について述べることにしよう。というのも、感情の裏に思慮があるわけではないのである。

 私にはマリータという妹がいるが、彼女は黄タイプだ。とても気さくな性格で、誰からも彼女の悪口を一度たりとも聞いたことはない。先入観はあるかもしれないが、妹に会う誰しもが、マリータのことをすぐに気にいるのだ。誰とでも心が通じる特別な能力があるのかもしれない。

 マリータはよく面白いことを言う。たまに変なことも言うので、いったい何を考えてそんな発言をするのかと聞くことがあるのだが、決まって大笑いしながら「何も考えていないわよ!」と答えるのだ。

 マリータとその旦那レイフの家に遊びに行くと、さまざまなことから解放された気分になれる。彼らが何に対しても明るい気持ちでいられるのは理解しがたいのだが、そんな人間の近くにいると自分も何かしら解放された気分になれるのだ。

 彼らの家にいるときほど楽しくて大きな声を出してしまうという場はほかにない。長いあいだ、どうしてそこまで楽しくなれるのか?と疑問に思っていたが、あるとき気付いたのだ。黄タイプの性格は人に伝染するということを。

「雨が降りそうだ」と私がマリータに言うと、彼女は決まって「そんなことないわ」と答える。

「でもほら、本当に雨が降ってきた。暗くなってきているし、雷もきそうだ」と言いながら窓の外を指さすと彼女は答える。

「そうかもね。でもそのあと、また太陽が顔を出すから。ちょっと待ちましょう」と言ってから、いつも通り、大笑いするのがマリータだ。

 庭の植物が雨の恵みを受けているあいだ、マリータはソファに座りながら素のままで楽しい時間を過ごしているのだ。そして、私を含めた周りにいる人間も、我慢できずに大笑いしてしまうのだ。