短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を研究してきた人物がいる。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。注目の最新刊『チームX(エックス)』は「世界的にみても極上レベルのビジネス書」(神田昌典氏)と評され、デビュー作『売上最小化、利益最大化の法則』は「20年に一冊の本」(人気会計士)と絶賛された。そして今、「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題となっているのがベストセラー『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。本稿では【がっちりマンデー!!】SNSで「ニトリ」似鳥会長と「食べチョク」秋元代表から「2022年に読んだオススメ本3選」に選抜された本書から一部を抜粋しながら、「最短時間で最大の成果を出す方法」を紹介する。

FIREはやめたほうがいいと断言できる理由

時間がたっぷりあるのに
「忙しい」のはなぜ?

 私は起業する前、猛烈サラリーマンを辞め、2年くらい貯金だけで生活していた時期がある。

 寝る間も惜しんで猛烈サラリーマンをやっていた頃は、1日10分捻出することさえ難しい生活を送っていた。

 その生活をやめたので、

「これからは時間がたっぷりある。
思う存分寝られる生活をするぞ!
今まで時間がなくてやれなかったことをいっぱいやるぞ」

 と意気込んでいた。

 たがが外れた私は、

「寝たいときに寝て」
「起きたいときに起きて」
「お腹がすいたときにごはんを食べて」
「読みたい本を読んで」
「見たいビデオを見て」

 と本能のおもむくままに暮らした。

 すると「たっぷりある」と思っていた時間は「意外とない」ことに気づいた。

 24時間、毎日ぼんやりすごすと、あっという間に終わってしまう。

 単純に「忙しさ」のレベルが下がってしまった。

 朝から晩までやることがある状態だったので、とにかく時間のゆとりがほしいと会社を辞めたら、今度は1日1個用件があるだけで忙しく感じた。

 起きたい時間に起き、食べたいときに食べるようになると、夕方6時に1件用事があるだけなのに、あっという間に出かける時間になった。

 時間を使う能力がすごく落ちていると感じたのだ。

なぜ、FIREはやめたほうがいいか?

 働いていたときの時間の使い方をキープしたまま退職し、空いた時間を別のことに使えば、有意義でゆとりのある生活ができたのだろうが、いったん「時間はたっぷりある」とマインドセットしてしまうと、今まで短時間でやれていたこともダラダラやるようになり、結局やるべきことができず、「時間が足りない」「忙しい」と感じてしまう。

 私の経験では、24時間は「本能のおもむくままダラダラしながらも、最低限やるべきことをやる」には短すぎる。

 よって「最低限やるべきことをやる」なら、「本能のおもむくままダラダラすごす」のは完全な休日のみにしたほうがいい。

 今、FIREが若い人たちの間で流行っている。

 FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字で、直訳すれば「経済的自立と早期リタイア」となる。

 私は経済的自立はいいが、早期リタイアはやめたほうがいいと思っている。

 人間、やるべきことがなかったら、本当に何もしなくなるし、精神状態も悪くなる。

 知人にもFIRE状態の人が何人かいるが、楽しそうには見えない

(本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)