元人気キャスターだった女性議員を襲撃したのは中学生
李在明氏襲撃事件の衝撃が冷めやらぬ中、今度は1月25日にソウル市内で「国民の力」の女性議員である裵賢鎮(ペ・ヒョンジン)氏が、突然男に襲われ、頭などを殴られて負傷するという事件が起こった。
裵氏はかつて、MBCの人気ニュースキャスターとして活躍し、2018年に政治家に転身した。彼女は頭部に傷を負ったものの、幸い命に別条はなく、27日に退院した。しかし、彼女は強い不安を感じており、さらに衝撃的なことに、容疑者とされる男性は10代の中学生だと明らかになったのだ。
事件現場であるソウル市江南区に住む中学2年生の少年は、裵氏を待ち伏せし、本人であることを確認、しばし談笑した後、突然凶行に及んだという。その一部始終は現場の防犯カメラに記録されていた。
少年については、学校関係者や同級生の証言などから「精神科への通院歴があった」「同じ学校の女子生徒に対するストーカー行為があったので、注意や指導を受けていた」といった事実も明らかになっており、以前から、精神面や行動に問題を抱えていたことがうかがえる。
この記事を書いている1月末の時点では、少年の犯行動機は不明だが、少年が裵氏を直接狙い、執拗に攻撃した事実が浮かび上がっている。さらに一部報道では、「少年は『共に民主党』の李在明氏を支持しており、集会にも足を運んでいたようだ」とも伝えられており、警察が真相を調査し、動機の解明を進めているところだ。
前述の女子生徒へのストーカー行為などを見ても、政治的思想だけでなく、韓国で若い男性の間に広がっているミソジニー(女性憎悪)といった動機も絡んでいる可能性は否定できないのではないか。容疑者が未成年者の中学生であったことから、韓国では事件全般についての報道がトーンダウンしている。明確な動機の解明や処罰がどこまで行われるかも不透明で、このままだと実に後味の悪い結果となってしまいそうだ。