「昔の声優は裏方だったのに、最近は変わってしまった」が大間違いなワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

『アイドルマスター』『ラブライブ!』『ウマ娘』といったアニメ作品では、多数のキャラが登場し、それぞれの声優たちがライブやトークショーなどに顔出し出演し、作品世界を盛り上げている。こうした「声優のタレント化/アイドル化」の流れは、いつから始まり、どこへ向かうのか。※本稿は『アイドル声優の何が悪いのか? アイドル声優マネジメント』(たかみゆきひさ、星海社新書)の一部を抜粋・編集したものです。

キャラと作品をプッシュする
タレントとしての需要が増えた

 現在(執筆時は2023年)の声優の仕事とは、どんなものか。一口に「声優」といっても、その働き方には個人差があり、様々な形があります。

 おそらくこの文章を読んでくださっている方が興味を持っているようなタイプの「声優」とは、「アイドルマスター」シリーズや「ラブライブ!」シリーズ、『ウマ娘プリティーダービー』といったタイトルに出演しているような「声優」ではないでしょうか。

 すなわち、タレントとしての側面を持つ「声優」。いわゆる「アイドル声優」と呼ばれるような方々ですね。

 そうした方のなかでも、またさらに働き方には違いがあるものですし、声優事務所各社でも違いがあるとは思いますが、スタイルキューブの場合は大体、次のような仕事をしています。

 基本はやはり、アニメやゲームなど作品への出演です。オーディションを経て作品が決まり、レギュラーで出演している作品は、毎週決められた日程でスタジオにて収録します。

 最近ではコロナ禍の影響もあってスケジュールが変則的なこともありましたが、大体、アニメの収録には「午前」「午後」の枠があり、多いときは一日で2つの作品のアフレコ現場に行きます。

 そして、アニメに出演していると、それに付随したラジオ番組への出演や、YouTube・ニコニコ生放送などでの配信番組への出演といった、作品のプロモーション稼働が発生します。

 キャラクターソングを出すタイプの作品であれば、そのレコーディングがあり、紐づいたイベントもあります。アニメによっては作品のOP・EDの楽曲をキャラクターとして歌うこともあるし、アーティスト活動をしている声優なら、タイアップとして自身の楽曲が主題歌になることもあります。

 ときには、作品に声優としてレギュラーで出演してはいないけれど、主題歌だけ担当するケースなどもあります。

 その場合はキャラクターではなく、声優個人名義でCDをリリースするようなアーティスト活動になり、これも付随したイベントや番組出演などもあります。細かい仕事を入れると一日に4現場、5現場になることもあります。

 まとめると、作品への出演と、それに付随したプロモーションのためのエクストラの活動と個人名義の活動。これがいまの声優の業務内容です。

 作品のプロモーションのための仕事は昔から存在していましたが、そのなかに占めるタレント的な活動の割合が多く、多岐にわたっているのが、現代の声優業の特徴だと言えるでしょう。