地方移住というキーワードが喧伝されるようになって久しい。背景としては、インターネットの発達に伴う働き方の多様化や、コロナ禍による人生観の変化、あるいは高齢化社会の弊害から故郷へのUターンを求められるケースなどが考えられる。地方に拠点を移したとして、その後の生活をうまく営むことができる保証はない。では、地方移住の成否を分かつものは何だろうか。(取材・文/フリーライター 友清 哲)
人生の後半戦をどこで過ごすのか?
およそアラフォー世代にもなると、誰しも人生の後半戦に思いをはせる機会が増えるはずだ。老後の生活をどうするのか? 今後のキャリアをどう設計するのか? さらには親の介護問題など、よほど現状に恵まれた人でないかぎり、考えなければならないことは山積だろう。
その意味で、リモートワークの浸透はひとつの転機と言える。職種によっては都市部でなければ働けないという縛りは急速に薄れつつあり、また、資産形成を第一とするのではなく、時間的なゆとりや負荷の少ない生活を求めて、あえてローカルを目指す人も増えている。
つまり現代人は、地価や物価が高く、人混みにまみれなければならない都会暮らしを無理に続けようとはしなくなったといっていい。
そこで地方に移住するという選択肢が台頭するわけだが、戻る故郷を持たない人間はどうすればいいのか。村八分という言葉があるように、縁もゆかりもない地域に突然移り住んだとて、成功の保証はない。
地方移住を成功させるためのポイントは何か。ふるさと回帰支援センター理事長の高橋公氏に話を聞いた。