移住した後に起こる
コミュニケーションの失敗

 地方移住を長年サポートしてきた立場から、高橋氏に、移住に失敗した人たちに総じて見られる共通点を聞いた。

「極めてシンプルに言えば、ちゃんとあいさつができない人は、地域になじめないまま撤退してしまう印象があります。地域とは共同体ですから、しきたりなど人間関係からしか得られない情報も少なくありません。信頼できるコミュニティーを早期に持つことが、移住を成功させる近道ではないでしょうか」

 基本的なことではあるが、コミュニケーションの問題を十分にクリアできている人は意外と少ないという。地方移住を目指すなら、このあたりはあらためて肝に銘じておかねばならないだろう。

 増田寛也・元総務相が座長を務めた日本創成会議が、2014年に、「2040年までに全国の自治体の半数が消滅する可能性がある」という、衝撃的なデータをまとめた通称「増田リポート」から10年超。この間、人々の意識や働き方は変わり、地方への関心は高まり続けている。

 一方では、各地で地方創生への取り組みも活性化している。地方での暮らしを求める人々にとっていま、チャンスは決して少なくないはずだ。だからこそ、高橋氏が指摘する失敗要因を胸に、入念な事前準備に努めてほしい。