「家を買っても大丈夫?」不動産価格にまつわる“真っ赤な嘘”ワースト7不動産価格に関するまことしやかな嘘は多い。自宅購入の検討では、どう見極めればいいのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

まことしやかな嘘が多い不動産価格
「定説」を専門家が徹底検証

 自宅は誰にでも必要で、その価格の動向は気になるところだ。これから購入する人はもとより、すでに持家に住んでいる人にも関心が高い分野である。しかし、この不動産価格についてのまことしやかな嘘は非常に多い。色々な説があるので、それぞれ検証してみよう。

【説1】日本は人口が減っているのだから、価格は長期的に下がるしかない

 日本の総人口が減り始めたのは2008年頃で、すでに15年経過している。出生人口から死亡人口を引いた減少幅は2022年に過去最大の78万2305人となっており、かなり減っている。外国人人口の流入があるものの、これを補えるような数ではないので、確かに人口は減っていると言える。

 しかし、住宅の対となるものは人口ではなく、世帯数である。その世帯数は、一世帯あたりの世帯人員が減り続けているため、逆に増え続けている。社会保障人口問題研究所の予測で、は2030年まで増え続けることになる。

 ちなみに、私も世帯数予測をしているが、増加は2040年までとさらに先になる。いずれにしても、需給バランスの対象が間違っているので、話として意味がない。また、2013年以降、すでに11年もマンション価格が上がり続けていることの説明がつかない。

【説2】空き家が増えるから、価格は下がる

 野村総合研究所が2013年のデータを基に「2018年以降、空き家が急増する」と予測したことで一躍有名になったが、すでに2018年実績が発表され、決着はついている。野村総研の空き家率推計は、2013年の13.5%から2018年に16.1%へ増加するものだったが、実績ではわずか0.1%増の13.6%となった。また、空き家の増加数は野村総研の推計が206万戸に対して、実際は26万戸しか増えなかった。わずか5年先の話なのに、桁違いの外れ方である。